第542話 チキンの勢力図

シャカシャカ美味チキン(仮)の受けはかなり良かった。


特に、ダークエルフのシエルが気に入ったようで美味しそうに食べていた。


スパイス系の粉でよく食べているが……こうして美味しそうに食べてくれる姿を見てるとやっぱりなんか嬉しいね。


「美味しいですが、チキンならやっぱり照り焼きチキンでしょう」


タイミングよく休みのタイミングで来ていた烏天狗三兄弟のスレインド担当歌丸にも試食して貰ったが、歌丸は断固照り焼きチキン派だった。


まあ、人の好みはそれぞれだよね。


女性陣にはチーズベースの粉が割かし人気だったが、スパイスも負けてない。


むしろガッツリ食べる系の人達はスパイスに夢中になってたしやっぱり何かしらの中毒とかがあるのかもしれないと再認識できた。


「美味いがこれ振る必要あるか?」


ちなみに虎太郎はシャカシャカ部分に疑問形だった。


揚げたてチキンにそのままスパイス系の粉をかけて食べるのが一番だと思ってるのだろう。


実に虎太郎らしい。


「そういう仕様だからね」

「そういうもんか」


その一言で納得してる辺り、相変わらず柔軟さが凄まじいが、虎太郎らしくていいと思う。


このシャカシャカ美味チキン、家族の中では我が甥っ子である、ラウル兄様の長男ドルードがかなり気に入ったらしく、楽しそうにシャカシャカしていた。


我が姪ティファニーもシャカシャカを楽しんでいたが、食べるよりもシャカシャカに楽しさを見出してる様子。


確かに楽しいよね。


逆にスワロは1回シャカシャカして食べたら満足したのかすぐに読書に戻っていた。


元々、食より読書が好きな子だし、最近は文通してるエンビにもっと進めたい本を増やしたいと更に読書量が増えてるようだ。


まあ、スワロの場合は少食で肉類がそこまで好きなわけでもないから予想通りだが、双子の妹のティファニーはシャカシャカして楽しんだのを俺か、父親のレグルス兄様か、それでも多ければラウル兄様に渡してるのでシャカシャカ専門になっていた。


まあ、ラウル兄様はかなり大食漢だし肉類大好きだから問題ないけど、レグルス兄様はそこまで大食いって訳でもないから程々にね。


さて、シャカシャカ美味チキンだが、対抗馬が照り焼きチキンとチキン南蛮、そしてフライドチキンとチキンナゲットとなってるようだ。


水面下で勢力争いが……なんてことも無く、それぞれ好きなものを楽しめてるあたり平和な世界という事だろう。


俺もまあ、それなりに試食して楽しんだのだが……ティファニーから追加で渡された分でかなりお腹が膨れたのでしばらくチキンはいいかな。


さっぱりした物が食べたい気分。


気が向いたら作るかと思いながら、家族の反応が良かったのでシャカシャカ美味チキンをそれとなく学園祭で出す計画も進めることに。


サプライズは大事だからね。

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