第538話 バンド名

バンド結成時にどの楽器を担当するのかは割とすぐに決まった。


問題という程ではないが、ボーカルを誰にするのかは少しの間話し合いになったけど。


まず、秀才ナトリは歌だけはダメと辞退したので残る3人に絞られたが、俺はフィリアが良いと思っていたし、フィリアは俺がいいと思っていたし、生徒会長もかなり歌が上手いことが分かって多少の駆け引きはあったが、生徒会長がボーカルに決まった。


個人的にはフィリアの歌声が聞きたかったが……まあ、生徒会長がやる気のようだし任せるとしよう。


なお、担当楽器は、

俺=ベース

フィリア=リードギター

生徒会長=ギター&ボーカル

秀才ナトリ=ドラムとなった。


安定にキーボードが欲しいところだけど、多少なら俺がカバーできるし、ギターを普及させる意味でも、演奏の安定感を高める意味でもこの配役が妥当だろう。


練習一日目。


俺、フィリアはほぼ完璧。


元々、知ってる曲だし何度か弾いてるのであとは二人とのタイミング次第だろう。


なお、生徒会長は二日と言わず一日目でほぼ弾けるようになっていた。


秀才ナトリは多少ぎこちないが半分ほどは弾けるように。


練習二日目。


生徒会長ほぼ完璧レベルまで仕上がる。


秀才ナトリも形になっていた。


……誘っておいてはあれだが、マジで覚えるの早いね。


助かるけど。


そして練習三日目。


「うん、これなら明日披露でも問題なさそうだね」

「ですね」


まだまだ荒さは多少あるが、それも味になるくらいにはこの三日でほぼ仕上がった。


空いてる時間でやったとは思えないレベルだが、まあメンバーを考えると妥当といえば妥当か。


「フィリアは本当に楽しそうに弾くよね」

「シリウス様のお陰です」


そうはにかむフィリアが天使すぎる件について。


「知ってはいましたが、シリウス様って本当に上手なんですね。シリウス様の支えるベースの音があってこそ成り立ってるっていうか」

「褒めすぎだって。このメンバーだからこその演奏だしね」

「ふふ、そうですね」


実際、人と演奏を合わせるの事態かなり久しぶりなので一人でやるのとは違った良さがあるよね。


何だかんだと綺麗な笑みを見せる生徒会長も楽しんでるご様子。


忙しい息抜きくらいにはなってるといいけどね。


そんな風に演奏が形になったので、ついでに即席バンドのバンド名も決めることに。


名前が無いのも寂しいしね。


それぞれ意見を出した結果、バンド名は『オリジン』に決まった。


学園祭の始まりとこの先の繁栄を願っての名前だが、悪くないと思う。


そんな感じで次の日、俺たち『オリジン』の演奏披露がやってくるのだった。

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