第532話 紡がれていく形
スイレンのスレインド行きが決まったが、スイレン以外にも『ディーヴァ・プロジェクト』メンバーでスレインド行きを希望したメンバーがいた。
女性ボーカルのミカがメインのバンドのデモシスと、歌侍を名乗る演歌歌手のソウメイだ。
まあ、この二組はこの二組でスイレンとはまた違った理由でスレインド行きを希望してるようだけど。
「うちらの曲をもっと世界に伝えたいんです」
ギラギラした目でそう答えるのはデモシスのメインボーカルミカ。
他のメンバーも同じ気持ちなのがよく伝わってくる。
ヌロスレアよりもスレインドに居た方が俺の支援も受けやすいし、何よりも大国であるスレインド王国で更に知名度をアップさせたいのだろう。
その野心は大いに結構。
無論快諾した。
アネPと俺の負担なんて些細なものさ。
アネPもノリノリだったし、俺としても彼女達のそのやる気に水を刺したくは無いしね。
「不純かもしれませぬが、拙者としてはやはり憧れの都で歌う機会が欲しいのです」
そう照れくさそうに話すのは歌侍を名乗る演歌歌手のソウメイだ。
ソウメイは生まれも育ちもヌロスレアだが、子供の頃からスレインド王国に憧れのようなものがあったらしい。
それ自体はスカウトした時から知ってたが、話を聞くとスレインドに行きたいのはそれだけではないらしい。
昔、ヌロスレアに遊びに来ていた女の子と仲良くなったことがあるらしい。
その子とは子供の頃以来会えてないが、スレインド王国から来たと話していたのを覚えているようだ。
会えるとは思ってないし、仮に会えても向こうはきっと自分のことを忘れてるだろうが、もう一度一目だけでも会いたいとソウメイは願っているようだ。
「拙者は昔からそう変わっておりませぬからな」
不純とは言うが、俺としてはむしろ応援したくなる理由なので無論承諾。
探す手伝いも一応提案したが、案の定やんわりと断られた。
自分で探すことに意味があるというのはよく分かるので俺も余計なお節介は程々にしておく。
そんな感じで、スイレン含めて三組がスレインド行きになったが、これはスイレンから順次折を見て活動拠点を移して行く予定だ。
なお、スレインドではなく、シスタシア行きを希望したメンバーも居た。
アイドル歌手のエレンだ。
「ヘルメス様にお会いしたいんです!」
どうやらヘルメス義兄様の大ファンらしい。
義兄様も是非と返事をしてくれたので、こちらも何とかするつもりだ。
忙しくなるけど、まあこの程度ならそんなに大変でもないので問題なし。
丁度、新しい『ディーヴァ・プロジェクト』の二期生達も育ってきたし、頃合としては丁度良かったと言えるかもしれない。
まあ、きっと初期メンバー……特に、スイレンはこれから先もずっとトップの歌姫であり続けるだろうが、皆そこに憧れて追いかけるだろうから、頑張って欲しい。
そうして歌手は育ち、歌は広まっていくのだろう。
何にしても、輝かしい彼女達を見てると俺としても色々応援したくなってしまうから不思議だ。
やっぱり、前向きに頑張ってる人は応援したくなるよね。
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