第528話 消えるお菓子系
気分を変えて、キッチンに立つ。
女装?その件は本番まで忘れるよ。
衣装係が本気になって、フィリアに俺の体のサイズを聞いてたりしたけど、気にしない。
セシルが面白がって自然な色のウィッグとか用意してたけどそれもスルーで。
全ては成り行きに任せる(という名の逃避)の精神で行こうと思う。
このタイミングでの料理となると、生徒会長から要請のあった学園祭で出す新しいスイーツ関連の開発もあるけど、学園祭関連でもう少しメニューを増やせないかと思ったのでその実験も兼ねている。
学園祭の経験が皆無だろうと、なんとなく何が合うのかは想像できるのでその想像力に任せて手を動かす。
手軽に食べれるもので色々と作っていく。
作っていくのだが……
「ミルさんや」
「ふぁい〜?」
「食べるのは構わないけど、頬にクリームついてるよ」
「気をつけます〜」
作る端から、お菓子類が消えていく。
原因は、お菓子大好きな妖精のミルに食べ尽くされてるからだが、フルーツサンドのクリームが頬についてるので拭いてあげる。
摘み食いを怒る気はないし、ミルが美味しそうに食べてるのなら問題ないのだろうが……にしても、この妖精さんは本当に自由なものだ。
「そうか。かき氷もありか」
そんな風に段々とミルの好みに合わせたものに変わっていってしまうが、お菓子系はいくらあってもいいので問題ないかと思っていた時にそれを思い出す。
氷を作るのは……うん、魔道具で大丈夫かな。
氷系統の魔法は使える生徒が多くないし、魔道具が一番効率的だと思ったので、氷の生成は魔道具で。
削るのは……やっぱりかき氷といえば、シャリシャリとふわふわの両方に削れるのがベストだしこちらも作っておくか。
シロップも普段から使ってるのを多少アレンジしておけばいいし……うん、いけそう。
「キーンってします〜」
「だねー」
「でも美味しいです〜」
「なら良かった」
新作シロップも含めてこちらもミルに味見して貰うが、問題なさそうだ。
いっそこれを俺が出すのもありだが……かき氷は人気になりそうだし魔道具で量産も出来るだろうからこれをやるのはちょっと違うか。
「ミルはシャリシャリとふわふわのミックスが好きだったね」
「はい〜。やっぱり良いとこどりはいいですね〜」
「ならそれ用も作ってみようかな」
シャリフワミックスの削りは魔法でやるのが手早いけど、どうせなら機械化しておくのも悪くない。
そんなことを思いながら試作をしていく中で、ようやく学園祭で出すお菓子が決まったのだった。
何を出すのかはお楽しみということで。
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