第527話 生徒たちの反応

生徒会の仕事は迅速だった。


話をした翌々日には、具体的な学園祭の企画書と共に生徒たちに学園祭の説明が行われた。


反応は……うん、悪くない。


これまでの学園にはなかった新しい試みではあるが、概ねお祭りという認識で受け入れられたと見える。


意外というべきか、学園祭に最も興味を示したのは貴族科の生徒たちだった。


まあ、本来こういった行事から縁遠いからこそ興味があるのかもしれない。


保護者の貴族達から文句が飛んでくるかと思ったが、そこら辺も抜かりのない学園長と生徒会長は既に根回し済み。


それ以前に父様の時代の大改革で文句を言うような連中がほぼ居なくなっていたというのもあるけど、何にしてもスムーズに進んで喜ばしいことだ。


学園祭の日程も正式に決まり、普段の授業の合間や後に学園祭でそれぞれがやりたい事、やる事に向けて少しづつ動き出す。


さて、俺とフィリアが居る魔法科も魔法の実演と研究発表みたいな事をやるのだが、そちらは俺とフィリアはノータッチということになった。


俺は別で魔法を披露するし、フィリアもあまり派手な魔法は得意じゃないということで別の生徒になったのだが、以前とは違いきちんと学んで成果も出てるので何も問題ないだろう。


その代わりというか、クラスでの出し物には協力することになった。


それはいいんだ。


ただ、他のクラスと被らないようにと趣向を凝らした時に思わず難色を示してしまった。


「……やらないとダメ?」

「お願いします」


クラスメイト全員からのマジなお願い。


本来なら即答してあげたいが内容が内容なので渋ってしまった。


我がクラスの出し物は『男装&女装喫茶』。


うん、何でそうなったのとマジで言いたくなるけど、楽しそうと皆が賛成してしまったので致し方ない。


民主主義の原点を垣間見た気がした。


だとしても、俺が女装する理由にはならないけど。


長い話し合いの末、少しの間やる事で合意した。


根負けしてしまったが、いつも穏やかなクラスメイト達の本気の頼みがこれなのはどうなのかと思わなくもない。


ちなみにフィリアは仲の良い女子たちと劇に出ることになったらしい。


男装&女装喫茶は俺のいる間の料理担当を手伝うとのこと。


「演技はあまり得意じゃないのですが」


俺も女装は得意じゃない。


でも、フィリアが出る劇は楽しみなので最前列で見させて貰おう。


その代わりに女装すると考えれば多少はマシに……なるか?うん、決まってしまったのものは仕方ない。


仕方ないのだが……衣装係とメイク係が専属で付くと聞くとそこまでするのかと疑問も出てくるが、一時の祭りの恥くらいは甘んじて受け入れよう。


なお、家族や婚約者達にこの事を話したらクラスメイト達以上に期待の眼差しを貰ってしまう。


何故に?

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