第522話 学園祭といえば
直近ですり合わせが一番必要なのが学園祭関係だろう。
説明としてはなるべくシンプルかつ、わかりやすく。
俺自身、学園祭や文化祭の類(どころか学校行事や学園生活なんかを前世)はほぼ経験がない上に、知識でしか知らないが問題ない。
出し物として、飲食の店をやったり、定番のお化け屋敷に手作りのアトラクション系、ステージ関連だと、生徒たちでバンドを組んで演奏したり、他にも色々披露できる。
それら以外だと……あとは日頃の学びを披露する場もあると良さげか。
学園祭は外部から人が来るのでセキュリティ面も考えなくてはいけないが、それらはそれ程問題でもない。
それ用の魔道具はすぐに用意できるし、今後も続くようならそれを使ってもらえば大丈夫だろう。
「お話を伺うほど面白い催しですね」
一通り説明を終えると、そう笑みを浮かべる生徒会長。
他のメンバーも内容は軽く知ってても、これまでにない新しいイベントにちょっと戸惑ってる様子も出てる中でこの余裕は流石としか言えないが……綺麗な笑みの中に楽しげなものが広がってるのがわかりやすくなってきている。
「出し物については最初はある程度こちらで候補を出してそれらの中で選ぶのが良さそうですね。飲食はそれなりにリスクもありそうですが……殿下は既に策がおありのようですね」
素人のやる店だし、もちろんその辺はきちんと考えている。
そのために必要な魔道具もすぐに準備できるので大丈夫だろう。
屋台でやるとすれば……そうだな、焼きそばとか、クレープ、チョコバナナなんかもありか。
手軽に作れて、手軽に食べれるのが理想だけど甘いものは特に喜ばれそうだ。
「実物があると分かりやすいのですが」
そう意味深に微笑む生徒会長様。
言われるだろうなぁと思って、用意はしていたので候補の料理をいくつか空間魔法から取り出して並べて試食してもらう。
女子生徒が多いからか、甘味が凄く喜ばれた。
道具類は最初だし今後も使えるように俺がある程度は用意するけど、食材なんかは王都の商人なんかに学園を通して発注となるだろう。
「商人の方は個人的な伝手もありますのでご心配なく」
そう笑う生徒会長。
公爵令嬢が商人と伝手かぁ……まあ、王妃が商人の真似をしてる国だし違和感がまるでないのが不思議だ。
まあ、候補に出したものなら王都の商人なら用意できるだろうしそちらは任せて大丈夫だろう。
ステージの出し物は広い講堂が使えるだろうし、屋外に特設ステージを作るのでも大丈夫そうだ。
手作りのアトラクション系も……学園に使ってない部屋がいくつもあるし、場所は余裕で足りるか。
そんな風に順調に話は進む。
進むのだが……生徒会長さんや。
試作のりんご飴を話の合間に、こちらに向けてちょいちょい色っぽく舐めるのは止めてくださいませんか?
悪戯だと分かってても妙に色っぽくて、書記の子がめちゃくちゃ動揺して顔赤くしてるから。
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