第521話 生徒会長、エレン・ルナティック
生徒会室は三階の眺めの良さそうな部屋に用意されていた。
「会長。シリウス殿下をお連れしました」
ノックと一緒にそう伝えてからすぐに『入って頂いてください』と返事が返ってくる。
その言葉で扉を開けてエスコートされるので、部屋に入ると机を囲んで、四人の女子生徒と顔だけは知ってる派手な紅髪のご令嬢が出迎えてくれた。
「お忙しい中、お越しいただきありがとうございます。何度かパーティーではご挨拶はさせて頂いてますが改めて」
ニッコリと綺麗な笑みを浮かべて紅髪のご令嬢は優雅に挨拶をする。
「生徒会長のエレン・ルナティックです。ルナティック公爵家の娘でもあります」
優雅な所作と綺麗な笑みは以前挨拶した時と同じに思えるが、笑みの中にほんの少し……隠しきれない好奇心が顔を出してるように思える。
入学式の時に感じた視線に近いかも。
「生徒会長のご高名は兼ねてより。色々と新しいことを任せることになって大変かと思いますが、期待してます」
「ご期待に添えるよう、全力を尽くします」
そんな風にちょっと畏まった挨拶をしてから、他の役員も紹介される。
生徒会長の他は副会長が一人と、会計が一人、そして書記が二人で、俺を案内してくれた子は会計補佐(という名目の何でも屋みたいなポジション)らしい。
見事に全員女子生徒だが、書記の子の片方以外は全員平民出のようだ。
書記の子は……そうそう、確かプレハブ子爵の三女だったか?
我ながらよく覚えていたものだが、あそこの家は長男が目立ちまくってるから逆に覚えていたのかもしれない。
そんな事を考えていると、書記の子のもう片方の子がお茶を用意してくれる。
手際が良いが、腕はもう少しかな。
学園祭などのすり合わせの前に、お茶を飲みつつ軽く世間話。
生徒会についても軽く話を聞く。
生徒会という場所も、本来なら高位の爵位持ちの家の子が務める慣例があったようだが、紅髪のご令嬢の代はそれらを一切考慮せず、実力主義……能力重視で役員は選ばれたようだ。
「私が自信を持って選ばせて頂いたメンバーです」
その言葉に偽りはないようで、世間話の後に始まった、学園祭やその他の行事のすり合わせも話が早い。
力仕事関係は外部に委託して、計画的に進行出来るようだし、これなら学園行事を任せても問題ないだろう。
騎士科の生徒を中心に、協力者もそこそこ居るようだ。
「これでもお友達は多い方なんです」
そう綺麗な笑みを浮かべる生徒会長。
なるほど、この様子で接されたら男女問わず、そりゃコロッと落ちるか。
ドレッド先生の言うように、優秀で楽が出来るのは助かるし、そこは有難いかも。
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