第515話 闘気
その日、珍しいことにルツから相談を受けた。
「実は先日から闘気と呼ばれるものが発現したのですが……詳しくご教授願えませんか?」
てっきり、魅了の関連のことだと思っていたがそれとは少し違う方法性の相談だった。
闘気。それは肉体の限界を極めた者のみが辿り着ける境地……と一般には言われてる魔力とはまた違った性質の力。
ある種魔力と似通った部分もなくはないが、一般には余程の生まれつきの才か地獄のような修練の果てに開花する力なのでその使い手は魔法使いよりも希少だ。
「構わないけど、虎太郎達には聞いてないの?」
希少なはずの闘気の使い手なのだが、俺の周りにはこの力を使える者がそこそこ居たりする。
俺はまあ、前世で当時の剣術や体術の師匠による地獄の扱きで3日ほどで発現したのだが……まあ、あれはカウントするべきじゃないな。
思い出したくないほどには地獄の扱きだったしなぁ……うん、思い出さないように気をつけよう。
では他に使える者となると、まず真っ先に上がるのは虎太郎だろう。
あれでも虎太郎はかなりの強者なので当然使える。
普段は使うまでもないので、使えると知る人は数少ないが、一度だけ虎太郎と遊びと称して手合わせした時に見た時にはかなりの練度だった。
他にとなると、ラウル兄様なんかも使えるみたいだ。
ただ、この二人は完全に才能派。
両方とも十代前半には教わるまでもなく使えてたらしいし、ルツのように努力の果てに身につけたのは……シャルティアやシエル辺りだろうか?
あとは茜や父親の半蔵も使えるようだが、二人は忍術の方にその力も割いてるので参考にはしずらいかもしれない。
才蔵ももう数年もしたら使えるようになりそうだが……そこは努力次第かな。
さて、そんな割と多い選択肢の中で俺を選ぶ理由はなんぞやと聞くと、ルツはちょっと困ったような様子を込めて苦笑気味に答えた。
「一応、虎太郎殿や半蔵殿にも聞いたのですが……その、感覚的な話が多くて。我が主なら更に詳しく伺えるかと思ったのでご教授して頂きにきました」
まあ、虎太郎や半蔵はそうなるよなぁ。
ならシャルティアやシエル達は……うん、まあルツの経験を思うに聞きにくいか。
ここでは魅了の力は効かないと分かってても、ルツは女性不信気味なところがあるし、普通に話せてるとはいえ、あくまでシャルティア達は俺の婚約者なので一歩引いてくれてるのだろう。
誠実でなおかつ生真面目。
ルツらしいと思いながらも、そのうちルツにも良い人が見つかるといいなぁと思いながら、相談された理由に納得するのだった。
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