第512話 手紙のやり取り
ホムラとエンビが帰った次の日。
ティファニー経由でスワロが俺に用事があると連絡を貰う。
末恐ろしい我が姪は、いつの間にか加護の繋がりで俺に連絡を取ることすら出来るようになってたらしい。
大したものだ。
「おじちゃまー!」
転移した瞬間、低空飛行気味のタックルを膝からくらうが何とか耐えて受け止める。
「ティーや、おはよう」
「おはようおじちゃま!」
元気満々な我が姪はいつも通り。
さて、もう片方の姪の方はと視線を向けると、スワロが本と一緒に何かを持って駆け寄ってくる。
「おじさん。これ」
そう言って本と一緒に渡されたのは手紙だった。
俺宛……なんて鈍いことは言うまい。
先日帰ったエンビ宛だろう。
「おすすめ、選んでたら間に合わなくて」
「分かった。渡しておくよ」
「……ありがとう」
照れ気味なスワロの頭を撫でてほっこり。
本当は昨日エンビが帰る前に手紙とスワロがおすすめしたい本を渡したかったのだろうが、本が大好きな我が姪のことだ、おすすめが多すぎて決めるのに時間がかかったのだろう。
微笑ましい限りだ。
「昨日、帰ったんだよね?」
「うん。また来るってさ」
「……そっか、良かった」
「良かったね、おねえちゃん!」
「……うん」
仲良し姉妹に再びほっこり。
本と手紙を空間魔法の亜空間に大切にしまうと、スワロがティファニーに「ティーはいいの?」と聞いてティファニーが「そうだった!」と思い出したように部屋を飛び出していく。
何事かと思っているとすぐにティファニーは戻ってきた。
一通の手紙と共に。
「おじちゃま、これ!」
「えっと、俺に?」
「うん!書いてみたの!」
流れ的にホムラ宛かもと思わなくもなかったが、二人の性格からして手紙のやり取りはしないだろうなぁと思って、もしやと思ったらやっぱり俺宛だった。
きっと、スワロが書いてるのを見て書きたくなったのだろうと容易に想像が着いた。
「開けていいの?」
「どうぞ!」
一応許可を貰って中身を確認。
『おじちゃまへ』という文字とその下に大きなハートマークや星マークが書かれているそれは……手紙というべきかは悩むが、微笑ましいのでありがたく受け取っておく。
途中で文字を書くのに飽きたか忘れたかして絵になったのが容易に想像つくが、手紙は手紙だ。
きちんとお返事しないとね。
「ありがとう。お返事書いておくよ」
「うん!」
嬉しそうに笑うティファニーの頭を撫でてから、スワロの方にも親指を立ててエンビからの返事を持ってくると伝えると照れつつも嬉しそうに頷くスワロ。
しかし文通で交流か……味があっていいものだねぇ。
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