第511話 小さな決意
翌日は、フロストとホムラやエンビの母親のエルレインの二人も交えて王都を回った。
はしゃぐ二人(主にヤンチャなホムラ)を抑えつつも、エルレインにも楽しんで貰えたようで良かった。
英雄時代の前世の時は、ホムラを助けようと思って助けたという感じではなかったけど、こうして元気に駆け回る姿を見てると無駄じゃなかったんだと思えて悪い気はしない。
まあ、それ以前にやっぱり子供には早く死んで欲しくないよね。
伸びしろがあり、将来が楽しみな未来ある若者には生きてて欲しいものだ。
「兄ちゃん、めちゃくちゃ楽しかった!また来ていい?」
「うん、いつでも来なよ」
「やった!」
最後まで元気なホムラ。
こういう元気さはティファニーで慣れてて好ましく思ってるから、気に入ってるのかもしれないな。
「すみません、シリウス様」
「いえ。エルレインさんもエンビもまた是非来てください。今度はアグニさんも一緒に」
「そうですね。その時はよろしくお願いします」
エルレインはフロストとも仲が良いみたいだし、来てくれたらフロストも喜ぶからこちらとしても嬉しい。
そんな気持ちが伝わったのか、フロストが嬉しそうに手を繋いでくる。
……相変わらず積極的だなぁ。
まあ、嫌じゃないけど。
「お兄さん、ちょっと」
昨日のあれから更に大人しかったエンビは何かを決意したように俺に耳を貸してほしいとお願いしてくる。
素直に近づけると、エンビはこっそりと小さな声で言った。
「僕が大きくなって、力がコントロール出来るようになったら……こっちに住んでもいい?」
エンビは分かっているのだろう。
己がまだ子供であるということを。
普通の子供というだけでなく、力ある龍族の子供なので、今はまだ力のコントロールを思うように出来てない。
だからこそ、それを出来るようになってからこちらに住みたいと言ったのだろう。
一重に、スワロの近くに居るために。
(小さくても男の子ってことかなぁ)
うん、嫌いじゃない所かそういう所は好きかもしれない。
「いつでもおいで。頑張りなよ」
そう答えるとやる気な様子で頷くエンビ。
一応、スワロとエンビのことはレグルス兄様にも報告はしている。
スワロがその気ならレグルス兄様も応援するようだ。
『ティファニーもスワロも可愛い愛娘だからね』
そう微笑むイケメンな兄様。
俺もこれくらい余裕を持って娘を送り出せる父親になりたいものだ。
……いや、なれるかな?なんか我ながら親バカになりそうだし。
うん、頑張るとしよう。
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