第505話 優秀で有能な義兄

長男の市丸に話を聞いた後。


次男の蓋丸と三男の歌丸の三人にも話を聞いた。


それぞれの性格が出ている説明だったけど、内容と望みは一緒だった。


流石兄弟というべきか。


「面白い兄弟だね」

「ですね」


それぞれ、仲良くしたいとは思っても長年の習慣と互いの相性で無理だとよく理解している。


それでいて、性格は違うが似たような思考をしており、下手な野心や変な下心などもほぼないと。


「とりあえず市丸はうちで貰うことになると思うけど……我がお義父様と頭のキレる義弟君は誰を選ぶと思う?」

「三男の歌丸でしょうかね」


三人の性格を吟味すると自然とそうなる。


能力的には三人とも拮抗してるし、ほぼ一緒と言ってもいいと思うのであとは好みの問題だろう。


「だよね。なら、早速連絡しないとね」


ヘルメス義兄様もそれを分かっているようで、早速父様やレグルス兄様に連絡をいれる。


「俺から伝えましょうか?」

「シリウスは他にも用があるでしょ?それぞれの送迎の時だけでいいよ。それにこの手の話で時間がかかったことそうないしね」


確かに、父様やレグルス兄様は話を聞く前からある程度察してそうだし、かなり手早く話は通るだろう。


「ヌロスレアの方もケイオス殿としては是が非でも欲しいだろうし異論はないだろうね」


三兄弟を紹介する先は、やはり俺の母国のスレインド王国と、ケイオスの仕切るヌロスレア王国か。


まあ、現状の繋がりや状況を考えると妥当だよね。


一応、最初にシスタシアに三人がやって来たので、優先権としてシスタシアが長男を抑えるのは特に問題ないだろう。


その程度で友好関係が崩れるほどうちとシスタシアの縁は脆くない。


家臣や他の貴族もレグルス兄様やヘルメス義兄様ならなんとでもなる。


ヌロスレアとは最近縁が出来たけど、ケイオスはかなり有能だからこの話を喜んで受けるだろう。


空の警備というのは、普通の人間だと中々大変なものだし、飛べる手段が限られてる以上普通に空を飛べて、なおかつ腕もある三兄弟は適任と言える。


「それにしても、朝早かったからシリウスには面倒をかけたね。朝食は済んでるかい?」

「いえ、その前に来ましたので」

「なら食べてくといい。こっちでもシリウスの料理はそこそこ出せてるし、ローザも会いたがってたしね」


そう誘われると断る理由もないか。


シスタシアに来る時は、なるべくローザ姉様と会っておきたいし。


「分かりました。では、お言葉に甘えて」

「うん。僕はしばらく手が離せなくなると思うから、送迎の時はちゃんと連絡いれるよ」

「了解です」


俺を酷使した方が早いだろうに、家族はそれを絶対にしない。


必要な時は勿論頼むけど、自分たちでも何とかなる時はそちらでやってしまう。


頼む時も申し訳なさそうに頼むので、本当に優しい家族だ。


だからこそ、俺も役に立ちたいと思うんだけど……本当に心持ちひとつで色々変わってくるね。


政治的なお話は有能な皆様に任せて、俺はゆっくりローザ姉様や甥っ子や姪たちと話しつつ、遅めの朝食を頂く。


たまには外での食事もいいものだね。

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