第500話 雨具
ここ数日、天気が少し悪い。
雨は嫌いじゃないけど、連日だと気分が下がる人もいるだろう。
そんな訳で、何となく可愛い系の傘を作ってみた。
キャラ物で、俺が描いてる絵本のキャラ達を載せた試作品一号は……見事に子供向けに出来る出来だったので、可愛い姪であるティファニーとスワロ達にまずはプレゼントした。
無論、俺の親戚には子供が多いのでそちらに贈るのも忘れない。
とはいえ、まずはティファニー達で反応を見るのが何となくルーティンになりつつあった。
「あめあめふれふれ~」
俺のプレゼントした傘をさして、ついでに雨合羽と長靴も履いた我が姪のティファニーがルンルンと外を歩く様子は微笑ましい。
雨合羽も長靴もキャラものなので、更にご機嫌なのだろう。
ちなみにスワロの方は一度それらを使ってからは観賞用になってるらしい。
まあ、元々外に活発的に出るティファニーとは違い、スワロは部屋で本を読むのが好きな子だから、むしろ一度でも使ってくれたことに嬉しくなる。
そんな風に姪たちの反応を楽しんだ翌日。
今度は婚約者達用にちょっとオシャレな雨具を用意してみた。
特に傘のデザインは凝ってみたけど、フィリアが傘をさして歩く姿は実に絵になる。
思わず写真に撮ってしまった俺を責める人は居ないだろう。
「お、これ知ってるぜ。皿回すんだろ?」
ただ、虎太郎がそんな事を言うものだから曲芸になりそうな空気になったのはちょっとどうかと思った。
あれはかなり凄いと思うけど、今はそういう時間じゃないから。
ちなみに虎太郎は皿回しは出来ないらしい。
そこそこの器用さはあるけど、そういう芸事はとんと向かないらしい。
俺はといえば……不本意なことに出来てしまう。
最初の前世で余興の類はほぼ全てマスターさせられたので、誠に遺憾ながら出来てしまう。
うん、前向きに考えよう。
楽しませるネタがあるのは良い事だよね。
これでも今世はなんちゃって王子なので、そういう余興のをする機会は……まあ、まずないとは思うけどお忍びとかで出かけた時に場の盛り上げにやるのはありかも。
まあ、あくまで盛り上げなので本職にはならないと思う。
そういう道も楽しそうだけど、今世は今が一番だしね。
そんな風にあれこれしてたら天気が落ち着いてきた。
我が姪のティファニーは可愛い雨具の出番がなくなってちょっと残念そうだったけど、次の瞬間には外で遊べると嬉しそうだったので微笑ましい。
なんにしても、こうして天気の移り変わりを楽しめる心のゆとりは大切にしたいなぁとしみじみ思う。
前世ではそんなゆとりなかったし、それを一緒に楽しめる相手も居なかったしね。
まあ、そんな訳で雨も悪くないと思います。
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