第499話 第三勢力(バレー)
「――という訳で、ヌロスレアではバレーボールを広めていくことになったよ」
そんな報告をケイオスにされたのは、ケイオスと一緒にバスケの試合を見に行った帰りのこと。
何やらここ最近、レグルス兄様やヘルメス義兄様達と何かを交渉してるなぁ、と思っていたら、ヌロスレアでバレーを広めていくために頑張ってたようだ。
「それはいいけど、なんでバレー?」
面白いスポーツだと思うけど、チョイスにちょっと首を傾げる。
こっちで俺が流行らせた(自覚はないけど1人遊びの延長で色々見せた)中で、他を差し置いてそれを選ぶとは。
「んー、まあ僕が気に入ったからっていうのもあるけど、バスケやサッカーみたいにボールさえあれば一応出来るってことが大きいかな」
本格的にやるとなれば、必要なものが増えてくるだろうけど、手軽でボールさえあれば出来るスポーツに目をつけたと。
ネットとかもまあ、何かしら代用できるものがなくもないしなぁ。
「流石に今のヌロスレアだと今すぐ浸透させるのはちょっと厳しいけど……どうせなら種は撒いておかないとね」
「為政者ってのも大変そうだね」
「これでもシリウスのお陰で楽させて貰ってるよ」
ケイオスはヌロスレアでのあれこれがあって第3王子から国王になった。
本人の才覚や素質もあるだろうけど、こうして生き抜き出来るくらいには余裕があるのは本当に大したものだ。
「流石にレグルス殿やヘルメス殿との交渉は疲れるけど、シリウスが居ないとこんなに簡単に交渉まで行けなかったしね。本当に感謝してるよ」
「それはどうも」
俺としては家族や友人に出来ることをしてるだけなんだが、真っ直ぐ感謝されるとちょっと照れくさい。
「まあ、強いていうなら遊び歩く時間がもうちょっと欲しいと年頃の男としては思う訳なんだ。誰かがもう少し連れ出してくれると嬉しいなぁ……なんてね」
「暇があったらね」
「じゃあ、それを楽しみにしておこうかな」
何だかんだと、ケイオスとはこうしてたまにあって息抜きに付き合うことになってるけど、不思議と嫌味がないので付き合いやすい。
友人としては相性が良いのかもね。
そんな風に話してから数年以内に、ヌロスレアの復興の片手間にケイオスはバレーをヌロスレア内で国技のような位置まで持っていくのだが、この時の俺は知らないことだ。
他のスポーツも広まってるのだが、バスケのスレインド、サッカーのシスタシア、そしてバレーのヌロスレアとなっていくのは多分兄様達の計算のうちなんだろうね。
まあ、楽しみが増えていくのはいい事だよね。
ちなみに俺は、フィリア達のテニスウェア姿が見たいという気持ちでテニスを屋敷内で流行らせようとしております。
不純な動機かな?でも似合うと思うんだ。
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