第481話 騎士様はいつも通り
なんちゃって王子の俺の王子としての仕事はそこまで多くない。
ただ、年に数回王子として振る舞う必要がある式典なんかがあるのでそういう時はなんちゃって王子でも王子様らしく振る舞う。
こういう時の正式な護衛はシャルティアに任せている。
実力もそうだが、守りにおいて俺の護衛としてシャルティア以上にこなせるものは居ないと言っていい。
自慢の騎士様だ。
「ふぅ……やっぱり疲れるね」
「お疲れ様です、シリウス様」
式典が一段落して、久しぶりの城の自室に戻ると思わず気が抜けてしまうが、シャルティアはまだまだ元気そうだ。
「シャルティアもいつもありがとうね」
「いえ。私はシリウス様の第一の騎士ですから」
「うん、頼りにしてるよ」
「はっ!」
嬉しそうに傅くシャルティア。
こういうノリ好きだから、式典の時はテンションが少し高い気がする。
「……重要な時に置いてかれることが多いから、張り切ってる」
そっと俺に耳打ちしてくるのはセシルだ。
置いていってるつもりはないが、確かにヌロスレアとか龍族とか厄介事には虎太郎を連れてくことが多い気がする。
まあ、それはシャルティアが頼りないからではなく、逆に頼りになるからこそ大切な領地やフィリア達を任せているんだけど、やっぱり騎士として俺を傍で守りたいという気持ちもあるのだろう。
可愛い騎士様だ。
「シャルティア」
「なんでしょうか」
「ルツとか新入りが増えても、シャルティアは俺の第一の騎士で大切な婚約者ってことには変わりないよ。だから……これからも俺の傍にいて欲しい」
「シリウス様……勿論です。この身は全てシリウス様のために」
洗練されてきた騎士としての振る舞いに交じる、喜びの様子が微笑ましい。
これだけ想われてると改めて知ると心が温かくなると同時にもっと俺からも気持ちを伝えたくなる。
……まあ、流石に騎士モードのシャルティアの楽しみを削ぐような真似はしたくないし、騎士と主のやり取りを楽しむさ。
ちなみに、フィリアと出る式典とかもあるんだけど、その時は俺にシャルティアが付き、フィリアにはシエルが着くことがこの先増えるのだが、それはそれ。
懸念があったり、何か理由がない限りは式典の護衛はシャルティアやシエルに任せるのが無難だし頼りになるし、何よりも本人たちが楽しそうなので俺としても見てて嬉しくなる。
それにしてもシャルティアは年々騎士としての所作が綺麗になってて式典中、ついつい見惚れてしまうんだけど……無意識なんだろうし、本当に凄いなぁ。
本人が全く意識してない時にドキッとさせられるのはシャルティアらしい魅力なのかも。
何にしても良い騎士様だ。
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