第480話 癒しの音楽

写真繋がりという訳ではないが、最近音楽関係……特に、録音の魔道具を作るのにハマっている。


音楽プレイヤーというか、撮ったものをいつでも聴けるようにしたいというのは誰もか思うことだろう。


生演奏は生演奏で凄くいいものだけど、音楽プレイヤーなんかで聞くのはまた別の楽しみがある。


気軽に楽しめるというのも大きいかもしれない。


さて、録音の魔道具なんだが、本体に録音の他に、CDやレコードなんかに焼けるようにもしてみたが、悪くない出来な気がする。


音楽といえばCDやレコードというイメージもあるし、今後普及していけば専用のお店とかも出来て賑やかになりそうだしね。


そんな思いつきの産物(普段のもそうだけど)は思ったよりも役に立ってる。


量産まではまだまだかかるけど、家族間ではかなり好評。


特に、フローラのバイオリン演奏はヒーリング効果バッチリだった。


「何だかこういうのは少し恥ずかしいですね」


自分の演奏が別の場所から流れてる様子にそう照れるフローラ。


外への持ち出し禁止で撮らせて貰ったこれは、生で聞くのとは違った良さがあって俺はかなり好きだ。


「私はシリウス様のやつをもっと聴きたいです」

「そう?俺はフローラのやつがもっと聴きたいけどね」


そう言って微笑み合う。


お互いにお互いの演奏が好きだから、毎度似たようなやり取りしてしまう。


「今度はシリウス様の歌声付きも欲しいです」

「デュエットでもする?二人で歌う方が楽しそうだし」

「少し恥ずかしいですけど……楽しそうですね」


演奏は何度も合わせたことがあるけど、デュエットは少ないのでそう提案すると興味があるようで食いついてくるフローラ。


デュエットか……いっそ、カラオケとかも普及させてみようかな。


カラオケボックスデートとかも楽しそうだし。


まあ、それらは魔道具が普及してからになるだろうけど、デート場所が増えるのは良い事だしね。


「音楽はいいものですね。心が落ち着きます。外でも気軽に聞けるともっと楽しそうですね」

「それもいいね」


散歩しながらイヤホンとかで聞くのもいいかもしれないな。


ワイヤレスイヤホンとかも作れるけど、コードある方がそれっぽい気もする。


まあ、その辺はおいおいかな。


いや、せっかくだし試したい気もする。


「フローラ、また車椅子に新しい機能つけておくよ」

「新しい機能ですか?」

「うん、せっかく貰ったアイディア試したいしいいかな?」

「はい、よろしくお願いします」


そんな訳で、フローラの車椅子にイヤホンジャックとプレイヤーを設置してみたけど、フローラからの評判はすごく良かった。


外でも聞けて、音漏れとかもなくて周りに迷惑もかけないのでかなり良い出来だったけど、フローラの楽しそうな笑みひとつで満足してしまった俺は技術者には向いてないかも。


まあ、婚約者の笑顔には勝てないから仕方ないね。

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