第476話 くノ一コス
「じゃっじゃーん!シリウスくん、どうかな?」
そう言って、部屋に入ってきたのはエルフ姉妹の妹のセリアだった。
この登場の仕方は何かを俺に見せたい時なので、読んでいた本から視線を向けると、そこには茜が着てる服に似たくノ一スタイルのセリアの姿が。
「いいね。似合ってるよ」
「でしょ!茜ちゃんのやつを真似て作ってみたんだ!」
「へー」
真似て作ったと言っても、セリアだけで作った訳でないだろう。
実力的にはやれなくないけど、そこまで根気が続くとは思えないし、何よりも縫い目を見て、誰が作ったのか一目で検討がついた。
「クーデリンと一緒にやったんだね」
「早速分かっちゃうなんて流石シリウスくんだねー。クーちゃん、めちゃくちゃ器用だからついつい頼っちゃうんだよねぇ」
それは分かる気がする。
こと、家庭的なスキルにおいて、この屋敷でも上位の実力を持ってるのは間違いないし。
「本当は一緒に来てシリウスくんに見せようって誘ったんだけど、心の準備が必要だって恥ずかしがっちゃって」
「だろうね」
茜の着てる服もそれなりの露出があったが、今セリアが着てるやつはそれ以上に布面積が少ない。
これを着て異性の前に出るのは、クーデリンにはハードルが高いだろう。
「どうどう?ドッキとする?」
「するよ、凄くね」
「にっしっし。なら頑張った甲斐があったよ」
そう言ってナチュラルに隣に座ってくるセリア。
平然としてるけど、少し緊張してるのは長い付き合いで分かる。
まあ、それ以上に俺に見せて満足気なのも分かるんだけど。
「でも、茜ちゃんこんな服で人前に出れて凄いよね」
「くノ一にとっては必要なことだからね」
色香というのはそれだけ大切なのだ。
まあ、今セリアが着てるのに比べたら茜のはかなり控えめに思えるけど。
「男の子はこういうの好きなんだね」
「嫌いな人は少ないかもしれないね」
「シリウスくんも?」
「相手によるかな」
茜は似合ってるからいいし、婚約者もコスプレというか衣装のひとつとしてならいいと思う。
「私はセーフ?それともアウト?」
「分かってて聞いてるでしょ?」
「言葉で欲しいんだもん」
そう言われたら言わないわけがないのが俺という人間な訳で。
「……似合ってるし、可愛いけど俺以外には絶対見せないで欲しいかな」
「そっかー。なら仕方ないぁ」
ニヤニヤしつつ嬉しそうに抱きついてくるセリア。
最近はこういう独占欲の強い言葉を俺から引き出すのが楽しいらしい。
可愛い遊びを覚えたものだ。
ちなみに後日、恥ずかしがるクーデリンと同じくちょっと照れてるスフィアを連れてリベンジにきたセリアだったが、それぞれちょっとアレンジの加わったくノ一衣装は凄く似合っておりました。
目の保養になって有難い。
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