第474話 裏取引の現場
ハーフエルフのソルテは俺の写真を自室によく飾って楽しんでる。
飾るというより埋めつくしてるのだが、不思議と整理されてて凄いなぁと関心さえしてるけど、部屋一面俺の写真ばかりで飽きないのだろうか?
飽きてないからこそ、日々写真が増え続けてるのだろうが、明らかにソルテの撮ってるもの以外の俺の写真が増えてきてるように感じた。
何故なのかは考えるまでもなく、協力者が出来たからだろう。
そして、その取り引き現場を俺はたまたま見かけることになった。
「はい、今週分だよー」
「ありがと、ございます。アカネサン」
「いいっていいって。楽しいからさ」
ミルを探して、屋敷裏まで歩いてくると裏取引でもしてるように二人きりで写真の受け渡しをしてる現場を発見。
片方は勿論ソルテ。
もう片方の協力者の方は……分かりきってたけどやはりくノ一の茜だった。
まあ、アングルとか明らかに俺の動きを捉えて正確に撮れるとしたら候補は絞られるけど、予想通りというかなんというか。
「にしても、便利だよねこの魔道具。一瞬で絵みたいにシル君の自然な姿を残せるなんて」
「……ご主人様、凄いです、から」
嬉しそうにはにかむソルテ。
俺の写真を持って、俺を褒められて喜ぶ姿は非常に可憐だが、日々俺のアルバムが増える様子はちょっと気恥しい。
それにしても、ソルテも人語が上手くなってきたものだ。
少したどたどしさはあるが、前よりも遥かに上手くなってるし本当にがんばり屋さんだなぁ。
「だねー。あ、そうそう。無理に人語話さくてもいいよ。やっぱり自分の話しやすい言葉が一番だしね」
「大丈夫、なんですか?」
「うん。どうにかするよ。エルフ語はさっぱり分からないけど、何となく聞き取れる気がするし」
ソルテの言葉に微笑みつつ、ふとそんな事を言う茜。
どうするのかと思ったら、茜は俺の加護の力を耳に集中力させた。
『……ありがとうございます。ではこちらでいいでしょうか?』
「あ、聞こえた聞こえた!うん、勿論これでいいよ!」
……驚いたな。上手く加護の力を使ってエルフ語を聞き取ってみせた。
かなり大変そうだけど、この短時間でそこまで行くとは大したものだ。
フィリアもそういえば、すぐにソルテのエルフ語を聞き取る方法を身につけてたっけ。
ソルテの歩みを邪魔しないようにしつつ、自分から近寄る姿勢は本当に心が温まるものがある。
優しい世界というやつだろうか……微笑ましいなぁ。
その後もエルフ語を加護の力で聞き取ってソルテと交友を深める(写真の受け渡しをする)茜。
まあ、本人たちが所望してるなら構わないけど……とりあえず後で茜にはお風呂やトイレでの撮影はダメとやんわりと伝えておくか。
流石にその辺の分別はあるだろうけど、一応ね。
裏取引については見逃そう。
嬉しそうなソルテの様子を邪魔したくないしね。
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