第468話 人材の確保

家族とのコミュニケーションはなるべく忘れないようにしているつもりだが、俺という人間はどこか抜けてる所があるようだし、完璧には程遠いので伝える努力を忘れてはいけない。


茜達の報告は前々からしていたが、本日はレグルス兄様の知識欲を満たすために色々と茜を交えての報告に来ていた。


「情報収集や隠密の術に長けてる忍者という仕事か……面白いね」


一応、ラウル兄様もさっきまでここに居たのだが、冒頭の話をすっ飛ばして同伴していた半蔵と一緒に訓練場に出ていってしまった。


強者は強者に惹かれたのだろう。


外で楽しくやってる姿が容易に想像できた。


半蔵もだけど、ラウル兄様も何だかんだバトルが好きだからなぁ。


「茜さんだったね?君の同朋でこちらに来てくれそうな人材に心当たりはないかな?」


一通り、忍者の話を聞いてからレグルス兄様は人材確保に向けて動き出す。


相変わらず話の速いお兄様だ。


「うーん……一応、数人候補は居なくないですけど……」

「口が固くて、仕事が出来る人なら大歓迎なんだけど当てはまるかな?」

「えっと、全員くノ一なんですが、大丈夫ですか?」


茜曰く、元御庭番の棟梁だった半蔵はリーダーとして仕切る資質はあれど、人望があった方ではないので、紹介出来るのは茜の知り合いのくノ一になってしまうかものとのこと。


「構わないよ。話だけでも通しておいて貰えると助かるよ」

「分かりました」


そう答えつつも、若干乗り気でない様子を見せる茜。


「何か心配事とかあったりする?」


こっそりと尋ねると、茜は少し表情を崩して難しい顔で言った。


「一人、とっても優秀なんだけど、物凄く色欲魔な姉弟子のくノ一が居るんだ」


聞けば、その姉弟子はかなり優秀なくノ一なのだが、色欲魔……色事が大好きでその道を極めたプロらしい。


「あれをシルくんの前に連れてくるのはちょっとね……私やフィリア様たちの前にシルくんの貞操がペロリされても困っちゃうから」


優秀だけど、一癖も二癖もある性格と。


「それなら直接僕の元に連れてくればいいよ。紹介料としてそうだな……弟の昔話で良ければしてあげるから」

「是非ともお願いします!」


相変わらず、レグルス兄様は人を使うのが上手いなぁ。


見習いたいが、真似出来る気がしないスキルだけど、そのうち体得したいものだ。


後日、弥生という茜の姉弟子と茜の話に興味を持ったくノ一数名がレグルス兄様に紹介されて、レグルスの手足となって動くことになったらしい。


茜のように影移動は出来ないけど、それでも優秀なな彼女達の働きによってレグルス兄様は前以上に情報の収集と裏での工作がやりやすくなったようなので、茜には本当に感謝しかない。


件の問題児、茜の姉弟子についてはノーコメントとしておきたい気分。


あれだね、あえて言うなら、あそこまでオープンな人は久しぶりに見たけど、逆に嫌いじゃないオープンさかもしれない。


なお、弥生という茜の姉弟子はレグルス兄様の顔やラウル兄様の体に非常に興味津々で俺への興味がほぼ無かったので、茜の表情が少し和らいだということは付け加えておく。


やっぱり、兄様達は魅力的だからね。


それと共にレグルス兄様が意図的に防波堤になってくれたというのも大きいのかもしれない。


そんな優しい兄様を心から尊敬しております。

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