第467話 仕事ぶり
ワイルドな肉が食べたい。
そんな気まぐれで午前中の予定を前倒しして、虎太朗を連れて狩りに行く。
仕事をサボってるわけでは決してなく、前倒しにできる案件だったりしたのですぐに片付けて予定を繰り上げただけなので悪しからず。
やっぱり人間、スケジュール通りに動くだけだと疲れるし人に迷惑を掛けないようにこういう日を作ることも大切だと思うんだ。
「やぁ、助かったぜ坊主。あのアホに指導役を押し付けられそうだったからな」
急に連れてこられた虎太朗は虎太朗で、半蔵絡みで仕事を任されそうだったのをエスケープ出来たとご機嫌だ。
「虎太朗も指導役向いてると思うけど?」
「ガキのお守りならいいが、好き好んでガキに技仕込むのは好かん」
まあ、隠密術って大変だしな。
「半蔵達はどう?」
「俺から見ても坊主の期待通りだと思うぞ。あの親父は何だかんだ厳しいが世話焼きだから適任だとして、才の奴も現場を任せるなら打って付けだしな」
半蔵も才蔵もデキる男なので虎太朗を追ってきてくれて本当に良かったよ。
「茜の方は坊主に迷惑かけてないか?」
「むしろ色々助かってるよ」
俺が手を離せない場面でフリーに動いてくれてるので凄く助かる。
「虎太朗と茜は幼なじみみたいな感じなんでしょ?」
「近いといえば近いか。接した時間だと茜や才よりもあのクソ親父の方が遥かに長いんだがな」
「師匠の1人なんだっけ?」
「そんなとこだ。何にしても三人とも前よりも生き生きとしてるのは坊主のお陰だろうな」
生き生きとか。
「ねぇ、虎太朗。茜が男湯に忍び込もうとしたことある?」
「いんやないな」
「布団に忍び込もうとしたり、着替えにバッタリとかは?」
「……坊主、セクハラされてるのか?」
断じて違うから、そんな心配そうな顔しないように。
「同郷としてフォローしておくと、あいつは男がむしろ嫌いな側だから好きでもない相手にそういうイタズラはしないってことだけ言っとくぞ」
「まあ、実害ないし気にしてないからいいんだけどね」
それ以上に助けられてるし。
「しかしあの茜がねぇ。惚れたら暴走しそうなタイプだとは思ってたがやっぱりだったか」
「虎太朗と茜にその手の話はなかったの?」
「絶望的に相性が悪くてな。俺も嫁さん以外で惚れた腫れたはないからな」
その言葉を合図に惚気が始まる。
負けじと俺も婚約者達とのエピソードを語るけど、狩る手を止めたりはしない。
お昼はワイルドな焼肉といきたいからね。
そんな事を考えつつ息抜きの狩りを終えてお昼になる頃、タイミングを見計らったように茜が俺の背後から影移動で現れて一緒にお昼を食べた。
相変わらずタイミングが良いなぁ。
まあ、二人でお昼というのも味気ないし華があっていいけど。
肉ウマー。
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