第466話 妖精さんはマイペース

ここ数日、ミルの姿を見てないなぁと思っていたらパフェグラスの中で寝ている姿を発見。


「むにゃむにゃ……私がパフェに……むにゃぁ」


どんな夢を見てるのか、想像できるような出来ないような。


まあ、どういう思考の回り方を経てかは不明だが、自分がパフェになった時を想像して気持ちよさそうに寝ていた。


「わぁ〜……人間さんも一緒に〜……むにゃむにゃ……」


夢の中に俺が登場したらしい。


お前もパフェにならないかと誘われてるご様子。


果たして夢の中の俺の答えは如何に。


「お揃いです〜……むにゃむにゃ……」


断れなかったか。


まあ、仕方ない。


流石にパフェグラスに直は妖精といえど、体に悪いだろうし、生地のいいハンカチで軽く包んでおく。


「むにゃ……人間さん?」


ハンカチで包んでから数分後。


ついでに近くであれこれしていると、ミルが静かに目を覚ます。


「ごめん、起こしたね」

「いえいえ〜」


ゆっくりとグラスから顔を出したミルは、実にいい笑みで報告してくれた。


「私〜、思ったんです〜。私自信がパフェになればきっと凄く幸せだって〜」

「そう、なってみた感想は?」

「食べてこそのパフェですね〜」


うん、悟ったか。


まあ、パフェになるのとパフェを食べるのは意味合いが全然違うから仕方ない。


「ところで〜、人間さんは何してるんですか〜?」

「和風スイーツの新作でも作ろうかなぁって」


茜達が来たので、和食を広める良い機会と思って試作品を作っていたのだ。


「それは素敵ですね〜」

「丁度出来たから、ミルにも味見役お願いするね」

「喜んで〜」


婚約者以外でスイーツを作るのが1番楽しいのはミルかもしれない。


甘いものが大好きで、こうして美味しそうに食べる様子は前世から変わってなくて安心感もある。


「人間さん〜、これなら女王様も喜びますよ〜」

「そう?なら今度作って持ってこうかな」

「ですです〜。その時の味見も任せてください〜」

「当てにしてるよ」


そんな風にミルと和やかに試食していると、俺の動きにいつも以上に早く気づいた様子の屋敷にいる婚約者達の視線を後ろから感じる。


いつも以上に速いのは……なるほど、茜の仕業か。


仲良くしてるようで良かった。


さて、ミルの次は婚約者達にも折角だし感想を求めるとするか。


「ミル、お代わりいる?」

「お願いします〜」

「分かった。じゃあ、向こうの皆にも待ってるよう伝えてきて」

「了解です〜」


天真爛漫なミルは屋敷にいると自然とそれだけ空気も良くなる。


ほっこりできるマイペースな妖精さんに敬礼。


そんな事を思いながら、ミルや婚約者達とのんびりとおやつの時間を楽しむのだった。


女の子は皆甘いもの好きだねぇ。


俺も好きだけど。

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