第450話 忍者の腕試し
予想通り、開けた場所に足を踏み入れた瞬間だった。
遠くから飛んできたそれが数秒後虎太朗の通過する地点を通り過ぎて、地面に刺さったのは。
「クナイか。ってことは同郷のやつらしいな」
虎太朗はそれを見てすぐに自分の知り合いの可能性が高いと思ったようでやれやれとため息を着く。
「主よ。見たことない武器ですが」
「まあな。俺の故郷のとある連中が好んで使う武器だからな」
不思議そうにクナイをみるルツだったが、俺とルツの方にも手裏剣が飛んできた。
「わぁ、実物はえらく久しぶりに見たな」
「坊主は知ってるみたいだな」
「一応ね」
「我が主は相変わらず博識ですね」
ルツは槍で己と俺への手裏剣を弾いてみせてから、くるりと槍を回して構える。
「修理した槍。調子よさそうだね」
「今まで以上に馴染みます」
「職人に伝えておくよ」
その言葉ともに、三つの影がそれぞれ俺たちに襲いかかってくる。
尾行してきた全員でかかってくるとは。
「げっ。半蔵か」
「よう、久しぶりだな虎太朗!腕は鈍ってないよなぁ!」
「面倒なのと当たったな、ちくしょう」
虎太朗に襲いかかったのは、体格の良い男で、忍者というよりは格闘家の方が向いてそうだが、その身のこなしと繰り出す技は忍のそれだった。
どうやら虎太朗と仲良しらしい。
なら、好きにやらせるか。
「恨みはないけど覚悟!」
「主の手前、手早く済ませます」
ルツに向かっていったのは虎太朗の元に行った男と比べるとかなり小柄だが、忍者と呼んでも違和感のない正統派の忍者であった。
何故か涙目でルツにかかっていったけど……向こうも色々あるのだろう。
こちらも力試しという感じだし、放っておいても問題ないか。
さてと。
「俺の相手は君かな?」
最後の一人は女性だった。
くノ一といった出で立ちで、ちょっと露出してる肌が色っぽい少し茶色がかったポニーテールの女の子。
「気づかれてるのとは思ってたけど、その様子だと敵意がないのまで分かってるみたいね」
「力試しってところかな」
「まあね。面白そうだったし。でも、ようやく見つけたタロくんより更に強い相手が居るなんて予想外だったけど」
そう言いつつも何やらソワソワしてる様子のその子。
楽しんでるのがよく分かる。
「虎太朗より強いと思われたんだ」
「うん、実際そうでしょ?」
「否定はしないよ。君も三人の中で一番強いよね?」
「分かるんだね。それに女だからという理由で舐めたりもしない」
「性別は嘗める理由にはならないよ」
そう言うと楽しげに笑うその子。
「そっかそっか。そういう感じか。タロくんが気に入るのも分かるかな」
「それはどうも」
「それに私に見惚れて動きが鈍らない相手も久しぶりかも」
「術だね。素の魅力も高いみたいだけど」
誘惑術というのか、忍術の類で異性の意識に働きかけるものをナチュラルに使ってるようだ。
これはデフォルトの力というべきか?
確かに素敵な人なのかもしれないけど、生憎と魅了の類は俺には効かない。
「うんうん、いいね、そうでないと。じゃあ、少しだけお相手願うよ!」
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