第449話 ヌロスレアでの遭遇
それはアリシアやアンネ、ついでにケイオスの様子を見にヌロスレアへと来た時のことだった。
時間もあるし、復興に向かってるヌロスレアを見て回ろうと虎太朗とルツを連れて歩いていたのだが、何店か店を回ってる途中で着けられてることに気づく。
「虎太朗、ルツ」
「ああ。なんか着いてきてるな」
「……流石ですね。お二人ほど早くに気づけませんでした。私もまだまだです」
そう言いつつも、ルツも割とすぐに気づけてたし流石だ。
「三人かな。それにしても気配の消し方が上手すぎるね。暗殺者でもここまでのは久しく会えてなかったからびっくりしたよ」
「坊主に暗殺なんて、神様に金をくれと願ってるくらい無駄なんだがな」
「もう少し現実的だってば」
しかし、前世でもこのレベルは稀だったし、かなり面白い相手だな。
「うーん、なんか覚えのある感じなんだが……」
「虎太朗殿のお知り合いですか?」
「分からん。断言はできないな」
そう言いつつもはてと何か引っかかるのか首を傾げる虎太朗。
「いっそ、虎太朗一人になった方が釣れそうだけど……」
「坊主にもかなり視線きてるな。二手に別れてもいいが、どうせなら一緒の方が早く終わるだろう」
「なら、少し王都から離れようか」
流石に友人や婚約者が住む場所で揉め事になるのは困るし、何かあっても大丈夫なように外に向かう。
「きてるな。誘いと分かって乗ってる風だ」
「そこまで分かるのですか?」
「勘だよ勘。お前さんもそのうち分かるようになるぞ。なにせ坊主の周りは賑やかだからな」
「俺としてはもう少し穏やかな日々が欲しいんだけどね」
「無理だろ。坊主だし」
断言するのはやめて欲しいが、まあルツの場合そのうち同じようなことは出来るようになるだろうな。
「ルツ、多分だけど開けた場所に出たら仕掛けてくると思うからそのつもりで」
敵意や害意は感じないけど、俺と虎太朗の勘が必ず仕掛けてくると告げている。
ルツもなんとなく察したのかすぐに頭を下げて頷く。
「御意。主はこの命にかけてもお守りします」
「うん、頼りにしてるよ。でも、向こうの狙いは虎太朗だろうから必要に応じて押し付けていいよ」
「ひでぇな坊主。もう少し年上をいたわれよ」
「仕方ないよ。強いんだもん虎太朗は」
「はっ。まあな」
何にしても、この三人なのは幸いといえば幸いか。
虎太朗は久しぶりにアリシアの孤児院の子供たちに会わせるために連れてきており、ルツはヌロスレアに来たことがないと言ってたので案内ついでに連れてきたんだけど、荒事になるのなら婚約者達をそこに居合わせたくないからね。
強くて頼りにしてても、大切な人が目の前で荒事に巻き込まれるのを見るのはちょっと心臓に悪いし、それに加護の影響で万が一オーバーキルした場合もちょっと困る。
そういう展開になっても心が痛まない野郎三人で何とかするとしよう。
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