第444話 加護紋の経過

俺の加護紋が宿った婚約者達だが、その加護紋の大きさや効果には個人差がある。


最も加護紋が大きく、最も強いのはフィリアだ。


その分、扱える俺の力の幅が大きいが、フィリア本人に負担がないのが何よりホッとした。


セシルやシャルティアもかなり大きくなってきているが、フィリア程ではない。


「……フィリア様、大きくなってきた」


セシル、加護紋のことだと分かってるけど、フィリアの胸元を見てわざと言うのはやめよう。


俺が意識してしまうから。


そういえば、加護紋の位置はそれぞれ個性が出るように異なってるようだ。


その確認方法で最も確実なのは視認に間違いないが、婚約者といえど乙女の裸は聖域だ。


気軽に見ることは叶わないし、結婚までは控えるべきだろう。


俺の場合は繋がりを介しても分かるし、感知で把握する方法もあるのでその点で困ることもない。


だからこそ、婚約者ではないクーデリンやキャンディ、形としてそうなってるアロエ先生、姪のティファニーの経過観察も何とかなってる。


……ただ、思うんだけど、セシル、セリア、ラナの三人は今の俺が確認するには刺激が強い場所に加護紋が宿ってるようなんだけど、流石に偶然だよね?


本人の意思でそこに宿ったとかでないはずなんだが、積極的なラインナップなので何とも言えない。


フィリアは胸元から大きく全身に広がりつつあるようだけど、そちらもあまり凝視できない……というか、するとフィリアも恥ずかしいだろうし、ゆっくりと経過観測をしていくことにしよう。


一つだけ懸念があるとすれば、繋がりが強くなればそれだけ俺の中のあれこれを見れるようにもなってくるということ。


見られて困るような物はないはずだが、見せると優しいフィリア達が心を痛めかねないものはなくはないのでそちらは厳重に封印しておく。


主に前世の記憶方面だ。


本人でさえ大変だったなぁという気持ちと二度と勘弁という思いなのに、優しい婚約者達が見たらどう思うか。


心穏やかに過ごして欲しいという俺の気持ちは間違ってないはず。


とりあえず、記憶操作までやらずとも、その応用でいくらでも何とかなるのでやるだけやっておく。


ただ、この調子で加護の力が馴染むと隠せない時が来る可能性もなくはない。


見られたら見られたで、仕方ないと割り切つつその時のメンタルケアを考えておこう。


「加護かぁ。やっぱりシリウスはそっち側だよね」


フロスト的には俺は授かる側ではなく授ける側という認識のようだ。


どんな風に俺を認識してるのかあとでじっくり聞きたいものだ。


「ねぇ、シリウス」

「なに?」

「私もそれ欲しくなってきた」


……深い意味はないと思うんだけど、ストレートにそれ言います?

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