第435話 行き倒れ発見
トリスの結婚式から数日後。
ちょっとした息抜きも兼ねて、俺は素材集めにロダリグア王国の僻地の森までやって来ていた。
いつもなら誰かしら連れてくるんだけど、本日はソロでやって来てます。
ロダリグアという名前はあまり良い話を聞かないし、一人の方が動きやすいという理由もあるけど、それ以外に理由がもう一つ。
たまには一人になる時間というのも大切だろうと思ったのでそうしてみた。
「お、これはこれは」
素材集めのついでにロダリグア付近でしか見かけない珍しい食材なんかも手に入るので一石二鳥。
あまり人の手が入らない深さまで来てるので、ついででもかなり色々と手に入る。
「夕飯用にもう少し集めるとしようかな。……ん?」
ほっくほくな成果にウキウキしていたのだけど、不意に感知魔法で微弱な反応を捉えた。
動物や魔物ではないな。
この反応は人間か。
しかも大分弱ってる様子。
「んー、まあ見ておくか」
ロダリグアの人間だと少し面倒かもしれないけど、ここは僻地の森でしかもそこそこ深い場所。
そんな場所に弱って単独で居るのを放っておくのもあれだしね。
そう思ってその場所に足を向ける。
道中の魔物をサクッと狩りつつ進むこと少し。
その人物は大きな木を背にして眠るように倒れていた。
「死んでは……ないな」
一応脈を測る。
かなり弱ってるし怪我でボロボロだけど息はあるようだ。
「さて、どうするか」
回復魔法を使いつつ考える。
見たところ、ロダリグアの人間のようだけど一般人が森に迷い込んだという様子ではなさそうだ。
狩りにきたという感じでもないし、どちらかといえば国を追われて追っ手を振り切るためにここまで逃げ延びてきたという所か。
関わると面倒な予感も無くはないけど……助かる命を見捨てるのもあれだしね。
「まあ、事情は起きてから聞くとするか」
見た感じからある程度の予想はつくけど、本人に聞くのが手っ取り早い。
意識がないようだけど、魔法で傷は癒してるし、少しすれば起きるだろう。
それにしても、こんな状況でも槍を手放してないのは大したものだ。
かなりボロボロになってるから、それなりに大変な目にあったのだろうけど、それでもここまで逃げ延びてきたのだからそれなりに実力もあるのだろう。
服装から見て取れる感じ、槍を使う騎士といったところか。
涼し気な顔立ちと目元の泣きぼくろが特徴的なイケメンさんだが……ん?
「あー、そういうことか」
無意識にレジストしていたので気づくのが遅れたけど、目の前の人物に刻まれたそれを見てある程度その人物の事情は把握出来た。
呪いと呼ぶべきレベルの悪魔の加護……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます