第434話 友からの信頼
教会での挙式の後は獣人族の村で披露宴が行われた。
こちらで披露宴の会場を用意するという案もあったけど、せっかくなら次の族長の祝いの日は皆でという事で挙式は俺の領地の教会、披露宴は獣人族の村ということになった。
その分、料理の方は色々と協力させて貰った。
大きなウェディングケーキなんて、俺とクーデリンでほぼ作ったけど、中々の出来だ。
やっぱりクーデリンは料理の才能があると思う。
「トリス、おめでとう」
「ありがとう、シリウス。料理も美味しいよ。流石だね」
「そう?なら、クーデリンと頑張った甲斐があったよ」
披露宴と言いながらも、宴会のような雰囲気になりつつある頃、トリスの元に挨拶に行くけど、挙式から披露宴と続いての疲労はあまりないようだ。
やっぱり獣人族は体力あるね。
「クーデリンはどう?迷惑かけてない?」
「色々助かってるよ。婚約者達とも仲良くなったし、屋敷にもあっという間に馴染んでるよ」
「なら良かった」
そのクーデリンはフロストと共に、隣にいる花嫁のミリーと話している。
盛り上がってるけど……ラブな方向の話だろうか?
そういう方向の盛り上がり方に思える。
「ミリー、凄く綺麗なんだ」
「本人に言ったら?」
「いつも言ってるよ。でも、いつも以上に綺麗に思える。心底愛おしくて堪らないんだ。花嫁衣装だからってだけじゃなくて、僕の奥さんになったんだって自覚したからかな?そう思うとますます守りたくなる」
そんなものなのだろう。
「ねぇ、シリウス。妹のこと任せてもいい?」
「断るつもりなら受け入れてないよ」
「だろうね。シリウスは奥さんが沢山居るから大変そうだけど……シリウスの場合は何人でも問題ないのかな」
「好きな人に掛ける時間なら無限に作るよ。決めてるからね。絶対に幸せにするって」
前世ではそう思える相手には巡り会えなかった。
だからこそ、今世でそう思えた人を必ず俺は幸せにするって決めてる。
「なら安心だ。ただ、父がまた号泣するかと思うと少し参るけどね」
「優秀な息子が跡を継ぐから肩の荷が降りてきてるんでしょ」
「期待が大きいなぁ……でも、僕も多分我が子に期待しちゃうから似た者親子なんだろうね」
こうして正式に式を挙げた以上、今夜からミリー側の遠慮とかは一切無くなるだろうし、夫というもの大変そうだ。
でも、それを分かっても楽しそうな様子から本当に心からミリーを愛してるのだろうとよく分かる。
幼なじみの奥さんか……俺とフィリアもそれにあたるのだろうか?
「シリウス」
ふと、トリスが姿勢を正す。
「色々ありがとう。これからもよろしくね」
「……うん、こちらこそよろしく」
何だかんだと信頼されてるのだろうというのは分かるし、クーデリンの事も分かってはいるつもりだ。
なお、翌日からトリスは朝かなりげっそりして寝室から出てきてるらしいという話を聞いたけど、夫婦円満の証だろうし問題ないかな?
タガが外れたミリーはヤバそうだなぁと思うけど、受け入れてるトリスもトリスで凄いものだ。
何にしても賑やかな結婚式だったなぁ。
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