第432話 何にでもマニアはいる

久しぶりにフィリアとセシル、シャルティアの三人でスレインド王国の王都を歩く。


学園帰りの寄り道だけど、たまにはこういうのもありだよね。


「……こういう時の役得」

「ふふ、そうですね」


右腕にフィリア、左腕にセシルが抱きついており後ろにはシャルティアが控えているので両手どころか全方位に花というやつかな?


「シャルティアさん、後で変わりますね」

「いえ、フィリア様。私はここで……」

「……シャルティア、久しぶりに騎士らしいことして楽しんでるから」


確かに、俺の騎士として護衛してる時は大変楽しそうだ。


置いていってる訳ではないけど、お供に虎太郎をチョイスしなくてはならない相手ばかりだから俺の騎士には悪いことをしたなと少し反省。


「セシルさんはシャルティアさんのこと本当によく分かってますね」

「……長い付き合いだから。フィリア様の事も分かってきたつもり」

「それは嬉しいですね」

「……でも、それ以上にシリウス様のことも分かってるつもり」

「ふふ、そこもやっぱり同じですね」

「……うん、同じ。多分シャルティアも他の皆も」

「私はシリウス様の騎士ですからね」


……なんていうか、想われてるのが嬉しい気もするけど両側から抱きつかれながらだからますますドキドキしてくる。


天然でこれなのだから凄まじいものだ。


「あ、シリウス様。また出てますね」


三人の会話にほのぼのしつつも、温もりに年相応(?)にドキドキしていると、フィリアが店先でとあるものを発見する。


ヌロスレアの一件から、英雄みたいな扱いをされ始めてるんだけど……その最たるものにグッズ化がある。


俺印の饅頭やら、ヌロスレアや王都での戦いを過剰に盛った本なんかも出てるらしい。


ほとんど俺自身は関わってなくて、母様が手掛けてるらしいけど、前よりもその数が増えてるように感じる。


「ホントだ。これ需要あるのかね?」

「……凄いあると思う」

「間違いなくあるかと」

「絶対ありますね」


そう言いながら何故か三人が購入していく。


「買う必要ある?本人がここに居るけど」

「……それはそれとして、なんか欲しくなる」

「新しいのだけですから」

「シリウス様。帰ったらお茶菓子に出しますね」


よく分からないけど、三人が良いなら良いのかな?


ちなみに後日母様に話を聞くと、グッズの売上はかなり良いらしい。


俺効果で学園への志願率も高くなるかもと微笑んでいたけど、先まで見据えてる辺り流石と言うべきか。


ただ、孫の数の話はよしましょう。


まだ早いし、特に婚約者に話が流れて変にプレッシャーかけたくないしね。


なお、ラナが密かに裏で母様から商売のあれこれを教わっているらしいのだが、商売の方の後継者をラナに決めたのだろうか?


まあ、適任だけどやり過ぎないで欲しいかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る