第428話 クーデリンも迎えて

「お、お世話になります!」


転移魔法で獣人族の村に行くと、既に準備万端で待っていたクーデリンが出迎えてくれる。


数日ぶりだけど、元気そうで良かった。


少し緊張してるみたいだけど。


「うん、よろしくね、クーデリン。それで一緒に行くのはその四人でいいのかな?」

「その通り。妹共々よろしく頼むね、シリウス」


クーデリンの他にもう四人獣人が居たのでそう聞くと、タイミング良く現れたトリスがそう肯定をする。


「トリス、少し痩せた?」

「ミリーが毎晩激しくてね……僕ってそっち方面は普通なんだなぁって分からされたよ」


幼なじみの愛が相変わらず激しいようで何より。


「まあ、それはさておき。メンバーのうち二人は未婚だよ。相手もいない完全フリー」

「その情報いる?」

「大事なことだよ」


獣人4人の構成は男一人の女三人。


紅一点と言うべき、男の獣人……タウリルという名前の男の子とルジィという女の子がカップルさんらしい。


あと、ルジィの方はクーデリンの親友だとか。


「私情を抜きにしても優秀なメンバーを選んだから、妹共々よろしくね」

「こちらこそ。それよりも……そろそろ頭を上げなよクーデリン」

「は、はい……」


ガチガチに緊張している様子のクーデリン。


大丈夫だろうか?


「大丈夫だよ。シリウスの元に行くのに緊張してるだけだから」

「それなら良いけど。あ、それと話した通り今俺の屋敷に住人が一人増えてるから」

「ドラゴンさんだっけ?美人なんだってね。シリウスはモテるね」

「トリスには負けるよ」


というか、トリスの方が圧倒的にイケメンでモテてると思うし。


「美人さん……あの、シリウス様は……その……綺麗で年上のお姉さんのような方の方が好みでしょうか……?」


ガチガチに固まってたクーデリンがそんな事を尋ねてくる。


うーん、あんまりそういう好みの方面は考えたことがないけど……


「好みのタイプとかは分からないけど、好きになった人が好きかな」

「好きになった人……ですか?」

「うん、お互いに好きあえて、一緒にいて落ち着いて、この人となら生涯を共に出来るって人」


贅沢だろうか?


でも、婚約者全員にそう思えてるからそうなのだろう。


「容姿とかよりも、内面ってことかな。だからクーデリンみたいな娘がタイプってことにもなるかも」

「え!?そ、そうなんですか……」

「見た目も良くて、もふもふで一緒にいて落ち着くって意味では条件に合うのかもね」

「はぅ……」


あれ?変なこと言ったような……まあ、でもその通りだし問題ないか。


「うんうん。妹の行く道が約束されて喜ばしい限りだよ」

「お、お兄ちゃん。余計なこと言わないで……」

「分かってるよ。頑張っておいでクーデリン」

「う、うん。頑張ってくる」


緊張気味ながらやる気満々な様子のクーデリンに、何とも微笑ましそうな様子のトリス。


兄妹仲はよろしいようで本当に良かった。


まあ、それ以上にトリスは夫婦仲が良さそうだけど……式よりも早く幼なじみの奥さんのミリーが子供を宿す方に夕飯のデザートでもかけておこう。


賭ける相手は居ないけど、そんな気がしてならない夫婦円満さ。


羨ましくも友の幸せということで喜ばしものだ。


クーデリンも見知らぬ土地で大変かもしれないから、色々とフォローしないとね。


どうせなら俺の領地を好きになって欲しいし。

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