第308話 人手が欲しい

日々の住民への食料の配給は日毎にエリアを拡大しており、追加の人員によってほぼ全域をカバー出来ていた。


ライブによって、人々の心を多少上向けることにも成功しており、週一のライブは民衆に周知されていた。


ただ、それだけだと腐りきってる貴族連中が出張ってくる可能性もあるので、手を回して貴族向けの回を別の場所、別日に取っていた。


腐ってない貴族は既にある程度ケイオスが味方に引き込んでるらしいが、長らくの腐敗によってほとんどの貴族はアウト。


その辺の処理はケイオス側で上手いことするだろうし俺は気にしないが一つだけ、ケイオスから頼まれる前から考えていたことがあり、俺はその日時間を見つけて学園へとやって来ていた。


「おう、なんだか大変なことに巻き込まれてるようだな王子様」

「お久しぶりです、殿下」


事前に来るタイミングをフィリアに伝えて貰っていたからか、会議室には頼もしき先生方、四天王(俺命名)が揃っていた。


相変わらずなドレッド先生に、その隣でドレッド先生の言葉にボカっと頭を殴っているツンデレ先生。


そして、そんな二人に苦笑気味になりつつ頭を下げるアズマ先生に、いつも通り柔らかな笑みを浮かべるアロエ先生。


学園に来るのが久しぶりに思えるけど、流石に2、3週間では特に変化ないようで何よりだ。


「わざわざすみません。ちょっと別件で色々任されてまして、その関係で相談がありまして」


俺が学園に来た理由。


それは、ヌロスレアの学園に関して。


今のヌロスレアには学園と呼べるのものがない。


教育機関自体がないのだ。


昔はあったらしいが、予算なんかで削られて最終的に消えてしまったものらしく、あの偽物や腐りきった上層部にわざわざそういった場所を作ろうという考えがある訳もなく、何だかんだと現在に至る。


ケイオスはなるべく早いうちに学園を作りたいと考えており、俺としても孤児院の子供たちが将来的に通いたいと言った時に選択肢を作りたい気持ちもあったので先生方にも意見を聞きに来たのだ。


なお、父様と学園長には既に話は通してあり、シスタシアの方もヘルメス義兄様に相談して何人か教員の派遣を要請出来てはいるのだが、やはり人手はあるだけ有難い。


スレインド王国とシスタシア王国の学園の方も人手が多いとは言えないけど、かなり上向いてきている。


さける人員も居なくはないだろう。


とはいえ、スレインド王国の学園に負担のない範囲でと考えると、あまり大物は連れて行けないけど、全学年の進捗具合と先生方の成長具合を一番詳しく知ってるのが恐らくこの4人なので相談するなら打って付けという訳だ。


何よりも頼りになる先生にこそ相談するべきだろう。


そう思い、俺は話せる範囲で事情を話してから、教える教員の人員に関して相談するのであった。

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