第213話 先生と作戦会議
早いもので、俺が学園に入学してから一月以上になってきていた。
学園改革と並行して、ドワーフの国にちょくちょく行ってキャンディに顔を出して、約束通り武器を作ってもらっているけど、そちらは急ぎでもないのでキャンディに無理をしないようには言ってるけど、意外と真面目なようだしその辺は俺が会った時に外に連れ出したりすることで息抜きなどをさせて上手くコントロールしてるつもりだけど、無論無理強いはしてない。
キャンディは外の世界にも興味があるようだけど、今は俺と話してる方が楽しいそうで、椅子に腰かけてお茶を飲みつつのんびり……なんて事も珍しくはなかった。
俺としても、キャンディは話してて楽しい子だし、俺との会話で息抜きになるのならその程度は当然とも言えるけど、その関係でついでにドワーフの国の特産品の土林檎なども定期的に仕入れるようになっていた。
土林檎は特に美味しいし、ウチの領地でも育てられないか検討したい所だけど、その辺はドワーフの長のゾルニの許可が貰えたらということで。
「さて、んじゃあ、とりあえず現状報告からな」
肝心の学園改革については、本日丁度今、ドレッド先生、アロエ先生、ツンデレ先生にアズマ先生と俺が最も頼りにさせて貰っている先生達から報告を受けるところであった。
「とりあえず、王子様監修の教材は完成したし、授業でも使わせて貰ってるが、かなり良いな」
「前よりも分かりやすいわね」
「ああ、前が大雑把だったからこっちに関しては在校生にも好評なようだ」
ツンデレ先生とニヤリと笑い合う辺り、相変わらず仲良しなようで微笑ましいものだ。
「先生方への指導に関してはどうです?」
「その辺も王子様が上手いことコネ連中をやる気にさせた事で大きな問題はないな」
「本当に、あのやる気の欠片らもない連中をよくやる気にさせましたね」
「たまたまだよ」
アズマ先生が心底尊敬するように見てくるけど、コネで教職になった人達を何とか有効活用出来ないかと考えて、それとなくやる気にさせてみたけど、大きな問題がないのなら成功と言えなくもないかな?
「人手は足りそう?」
「まだ足りないが、その辺は上手いことこっちでやるさ。王子様の方で多少受けてくれるなら譲るけどな」
相変わらずなドレッド先生だが、一月も接すれば彼の人となりもそこそこ分かってくるし、最初から割と本音で話してくれてたようなので、その信頼には答えたいところではあった。
まあ、だからと言って俺がこれ以上出張る気はないけど。
無理をし過ぎて、家族や婚約者達に心配かけたくないしね。
「そこはプロに任せますよ。頼りになる先生が俺には沢山居ますので」
「そうですね、私達で頑張ります」
俺の頼りになる発言に一番やる気満々に答えるアロエ先生。
ドレッド先生と同じく、一番俺の講義を熱心に聞きながら即座に理解してくれるので、本当に頼りになるけど、前よりも笑顔が柔らかくなったのは俺の気のせいかな?
前から柔らかいんだけど、なんというか……そう、心を許してきたようなそんな笑みに思えるのは俺の気の所為なのかもしれないけど、気の所為じゃなければ悪くないかもしれない。
まあ、多分気の所為だよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます