第214話 お願いには弱い

「さて、現状王子様のプランは問題ない訳だが……後は俺達がどこまで王子様の思い描いてる通りに指導出来るまでに、魔法について理解できるかにかかってるな」


結果的には、俺のプランに問題はなく後は自分たち教師の成長次第だろうと結論づけるドレッド先生。


「その辺は問題なさそうですけどね」


ドレッド先生、アロエ先生は無論言うまでもないのどけど、ツンデレ先生もアズマ先生も悪くないペースなので俺としてはそこまで心配はしてなかった。


「そう言って貰えると助かるが、全員に理解させるには時間がかかるから、俺らもペースを上げる必要があるんだが、中々ハードでな」

「珍しく働いてるよねー、やる気満々で」

「お前だって、俺に涙目で教わりにくるくせに……ぐえっ!」

「それは言うなって言ったでしょ!」


イチャイチャし始めるドレッド先生とツンデレ先生。


それを放置して、俺はいつも通りアロエ先生に視線を向けると彼女は分かってるとでも言うように頷いて言った。


「通常業務も殿下のお陰で比較的緩和されてますが、やはりもう少し私達も覚える速度を上げられたらと考えております」

「他の先生達のフォローにもなるからですね?」

「はい。その通りです」


教材でカバー出来るとはいえ、教師の数と質が一気に増えた訳でもないので、完璧な教育体制になるには何年かかかってしまうだろう。


だからこそ、俺が頼りにしてる先生達はなるべく早くに卒業までに学生が習う予定の新しい範囲を熟知して貰うことは必要不可欠とも言えるが、学生の俺が一から十までフォローするのではなく、先生方でフォローしあえる方が学生たちもまだ安心だろうし、それを目指したいところ。


優秀な四人の先生が居るからこそ出来るプランでもあるので、その辺は本当にツイてたと言えるかもしれない。


「そこでだ。王子様に提案したいことがあるんだが……アロエから言って貰うとしよう」


ツンデレ先生とのイチャイチャが終わったのか、話に戻ってくるドレッド先生とツンデレ先生。


「えっと……本当に言わないとダメですか?」

「ああ、お前からの頼みの方が王子様は聞くだろうしな」

「でも……」

「いいから。絶対大丈夫だから」


少し躊躇うアロエ先生だったが、ドレッド先生からそう言われて少し恥ずかしそうにしつつも上目遣いで俺に言った。


「で、殿下……あの……殿下の時間を私にください!」


新手のプロポーズにも思えなくないけど、要するにもう少し俺から教わる時間が欲しいのだろう。


うん、勘違いなんてしてないよ。


ちょっと上目遣いのアロエ先生にドキッとしそうにはなったけど、そんな勘違いなどせずに俺は素直に頷くことにする。


必要以上には働く気はないけど、必要なら仕方ない。


婚約者達に心配かけない範囲で頑張るとしようかな。







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