第211話 真夜中の発見
不思議なもので、婚約者達と一緒に寝ることにも慣れてきた最近。
その日は珍しく夜中に目を覚ましてしまう。
一度寝たら、朝までグッスリが多い俺にしては珍しい事だったけど、ゆっくりと目を開けると相変わらず婚約者達に囲まれているのがよく分かった。
(おお、スフィアやシャルティアも寝てるのが見れるとは)
一緒に添い寝をしてる事は知ってても、俺が起きる前に目覚めて行動してるスフィアやシャルティアが実際に俺と同じベッドで寝てるのを見ると少し感動してしまう。
膝枕で寝顔を拝見することはそこそこあるとは思うのだけど、普通に寝てる姿はレアなような気がする。
まだまだ知らない婚約者の一面というのは知る度に好きになれるので凄く楽しいけど、こうして色恋を楽しめる今世はやはり素晴らしい。
純粋に心から好いてくれてる婚約者達だからこそ、俺も愛情を素直に向けられるのだろうなぁと思いながら、起こさないようにするりとベッドを抜け出してみる。
これが本来なら中々に困難なのだが、その理由としては左右にフィリアとフローラが抱きついてきており、両足にセシルとセリアがおり、俺の上にソルテが寝ていて、その近くにシャルティアとスフィアが居るという何とも凄まじい程に俺が抜け出す隙がない布陣になってるからなのだが、その辺は俺も魔法という力のお陰で何とでもなる。
魔力を俺の形にして、婚約者達が違和感を覚えないように形成して、転移でベッドの外に出れば気づかれることなく外に行けるという訳だ。
「……シリウス様、お目覚め?」
さて、飲み物でも……と思っていると、むくりと起き上がって小声で尋ねてくるセシル。
「ごめん、起こした?」
「……問題ない。ただ、突然、シリウス様の肌触りが悪くなったのは少し不満」
そう言いながらベッドから降りると抱きついてくるセシル。
「肌触りか、確かにその辺は考慮した方がいいかも……って、そんなに違った?」
魔法により違和感なく魔力が俺の形になっていて、質感とかもそこそこ再現されてるはずだけど、セシル的には物足りなかったようだ。
「……全然違う。本物は凄く柔らかい」
そう言いながら抱きついてくるのだが、夜中に目覚めて寝ぼけてる訳でなく、普段からこれなのだから、セシルらしいとも言えた。
「そっか。お茶でも淹れようか?」
「……私がやる」
「ありがとう。じゃあ、お願いするよ」
「……任せて」
夜中だし、自分でやろうと思っていたけど、セシルがやってくれるなら任せるに限る。
俺も前世の影響で普通にお茶くらい淹れられるのだけど、自分でやるよりも好きな人に淹れてもらう方が美味しいのは当然とも言えた。
なるほど、これが愛情というスパイスか。
そうして、セシルと月を見ながらお茶を楽しんだのだけど、二人きりだと相変わらず甘えてくるセシルさんは夜中でも通常運行なのだろうと知れたのはある意味収穫なのかもしれない。
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