第192話 毎朝の恒例

翌朝、相変わらず婚約者たちに囲まれて寝たけど、最近はそれが当たり前で慣れてきた今日この頃。


起きるためにするりと音を立てずにベッドから抜け出すと、外ではシャルティアとシエルが朝から元気に訓練をしていた。


「朝からよくやるわよね」

「……でもシャルティアとしては相手が出来て楽しそう」

「あー、確かに。シリウスくん除くとお姉ちゃんと虎太郎くんしか今まで相手にならなかったもんねぇ」


俺が起きると、いつも通り起きているスフィアに、朝に強いのに俺が起きるまで寝たフリをしてしれっと抱きついていたセシルとセリアも起きて外の様子に感想を漏らす。


フィリア、フローラ、ソルテはまだぐっすり夢の中にいるので声を控えめにしてる辺り、婚約者達の何気ない気遣いが感じられて嬉しく思える。


「おはよう、3人とも相変わらず早いね」

「ええ、まあね」

「おっはよー!シリウスくん」


朝から普段通りのエルフ姉妹の様子にホッとしていると、セシルがお茶の準備をしてくれる。


「ありがとう、セシル」

「……こういう時でないと淹れられないから」

「普段はフィリアちゃんが動くの早いからねぇー」

「そうね、昨日もシリウスが厄介事に巻き込まれてくるって予想してたし、すごい娘よね」


フィリアの評価の高さに頷きつつ、セシルのお茶を飲むけど、朝から優雅にティータイムとは俺にはオシャレ過ぎるかな?


「相変わらずセシルもいい腕してるよね」

「……この程度なら余裕」


ドヤ顔らしき表情をしているけど、変化が少ないからか俺か婚約者達しか分からないだろう。


個人的にはこのドヤ顔は凄く可愛いと思います。


「今日から授業よね?」

「まあね」


学園の……特に魔法科の改革を父様と学園長に頼まれているから、カリキュラムやらの見直しも場合によってはする必要があるかもしれない。


まずは情報を集めつつ初日を無難に乗り切ることを考えないと。


「シリウスくんの場合、生徒って言うと違和感しかないよね」

「確かにそうね」

「……大丈夫、そのうち講師に代わるから」


何が大丈夫なのだろうか?


「セシルちゃん達いいなぁ、シリウスくん気が向いたら私達も同行させてねぇ〜」

「私もです〜、すやぁ……」


セリアの言葉に、寝ぼけたように同調するのは妖精のミルだ。


気がつくと屋敷に馴染んだのんびりした妖精さんは、本来は必要のない睡眠を覚えたらしく頭の上に飛んでくるとスヤスヤと寝息を立てる。


「そのうちね」


まあ、連れていくのはいいけど、フローラやソルテの事もあるし、その辺はおいおい考えるとして、とりあえずはミルを下ろして肩に乗せてから、出遅れたフレイアちゃんを頭に乗せると、待ってましたと言わんばかりに俺の頭に巣を作るように居座るフレイアちゃん。


そんなに乗り心地がいいとは思えないが、フレイアちゃんや妖精さんのミルに俺の頭の上が人気なのは謎だ。


そんな風に相変わらずの目覚めを体感していると、フィリア、フローラ、ソルテもゆっくりと目覚め、訓練を終えたシャルティアとシエルも戻ってきて朝ごはんは和食にした。


海苔とご飯は最高の組み合わせですなぁ。







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