第193話 気だるげな担任

魔法科の生徒の数はそれほど多くもないけど、ある程度現段階の資質や才能でクラス分けがされているらしい。


クラスは上からA~Eクラスの5クラスに別れているけど、俺とフィリアは一番上のAクラスになっていた。


俺はまあ、前世のあれがあるからともかく、フィリア自身は才能もあり頑張り屋で、俺の指導でかなり魔法が上手くなったので自分のこと以上に誇らしく思う。


さて、魔法科はクラス分けとは別に無論、それぞれ入学した時期によって学年も存在する。


学年ごとに一学年から三学年まであるからそれら全てのカリキュラムを考える事にならないことを切に願う。


流石に学園自体はしっかりしてるので、広くて使いやすい教室にフィリアと隣合って座って、近くにセシルとシャルティアが待機しているけど、当然俺たちは目立ってしまう。


フィリアの美しい容姿を珍しがる以上に、俺への視線が凄いけど、今更気にしても仕方ないのでスルーしておく。


「えへへ、隣の席ですね」


最も、フィリアは俺と隣の席で少し嬉しそうでそれがまた可愛かった。


「おー、揃ってるなー」


そんな事を思っていると、教室に40代くらいの男性が入ってくる。


一応ローブ姿だけど、無精髭にやる気のないような表情……というか、気だるげな様子に生徒の何人かが何ともいえない様子をしていた。


「あー、Aクラスの担任のドレッドだ。今年は優秀なのが多そうで俺の仕事も楽になると嬉しいから、勝手に上手くなってくれ」


挨拶の第一声がそれの担任とはどうなのだろうと、思わなくもないけど、本心のようなので少し好感が持てた。


ヒソヒソと、どこか困惑と疑心を抱いてそうな生徒もチラホラいるけど、イメージしていた学園の講師とは違ってどうしても思うところがあるのかもしれない。


まあ、俺や婚約者達はそんな事は微塵も思わないけど。


「シリウス様」

「当たりと言えるかもね」


魔法科の先生を名乗る他の人とは先日少しだけ話したけど、実力を感じる人がほぼ居なくてどうしたものかと考えていたけど、格好はあれでも確かな実力者であり、先程俺が試しに使った魔法を感知していて反応していたのも確認していた。


しかも、それが害のないものだと分かっており、顔に一切出ない辺り、実は食えない人なのかもしれないとも思った。


流石に年々教育水準が下がっていても、最高クラスのAクラスともなるとそれなりの担任のようで少し安心する。


後は授業の様子やその他を見てからになるけど……この時点では少なくとも悪くない講師というのが俺の中の評価であった。


「んじゃあ、基礎的な学園のことを念の為に説明するから、ちゃっちゃと覚えてくれなー」


学園の構造やら、授業スケジュール、実習やらイベント関連なんかの説明をするけど、話も比較的まとめられており分かりやすい。


やる気のなさそうな様子とは裏腹にしっかりしてるチグハグした人だけど面白いかもしれないと俺は密かに思ったのだった。





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