多少の譲歩は。

家にお篭り状態が続いている、ここ最近。寝室お篭りでないだけまだマシか?


ちゃんと確認出来ていない裏庭が気になる。大豆までしか確認してない。きっと何か増えているハズ!


「ねー、アレク。一緒に家の裏、見に行こう?」


何か美味しいモノが増えているハズだから、と続ける。


「美味しい物、ですか?貴女の方がよっぽど美味しそうですが…」


ブホッ。意味が違うよね?!アレクさん!


「~~っ!そうじゃなくて!裏庭、私の故郷の食用植物が生えてるの!」


アワアワしながらそう言うと、すっ、と瞳を細め。


「アリヤの故郷の食べ物、ですか?」


それは是非覚えなければ、と急にやる気を出し始めた。


ささ、見に行きましょう、と抱きかかえられて裏へと向かう。


えぇ、えぇ、抱っこはもう諦めました。抱えられて首筋をスンスンかがれて、良い匂いだ、今すぐ食べてしまいたい、と耳元で囁かれ続け。これが蜜月、フェニーが言っていた通り、暫くの間は諦める事にしました。


あんまり抵抗するとその後が大変なので…察して下さい。


目的の裏庭で降ろして貰う。


「あっ!出来てる、出来てる。ん?やった、新顔だっ!」


丁度枝豆が食べ頃になっていた。次の種まき用に少し残してアレクにお願いして収穫して貰う。大豆料理はもう少し増やしてからにする予定。


それと今回の新顔、とうもろこし。生えてくる基準がさっぱり分からないけど、これも人数分、収穫して貰って家に戻る。


早速調理だ!


…と言っても私は口を出すだけ。実際に調理するのはアレクなんだけど…いつになったらもう少し自由になるのやら。


枝豆はシンプルに塩茹で。とうもろこしも塩茹でにして半分は醤油を使って焼きとうもろこしに。次回はとうきびご飯やポタージュなんかも良いかも。レシピ渡したら作ってくれそうだね。


ホント、アレクって器用だと思う。んで、調理してる最中尻尾フリフリやっているから楽しいんだろうな、と思う。


そうこうしている内に、「ザ・日本の夏!」って感じのお酒のアテが並ぶ。そうそう、この間村で買ってきたビアも出して。


フェニー達はアルコールは摂らないけど、枝豆やとうもろこしに興味シンシン、早速手を出していた。


私とアレクはよく冷やしたビアと枝豆を頬張る。


「ん~っ!やっぱり枝豆最高!」


プハァ、とビアを喉に流し込む。


「これがアリヤの故郷の味ですか?興味深いですね…」


アレクは真面目な顔で枝豆を食べている。


「あ、とうもろこしは周りの黄色い実だけ食べるんだよ。芯は残して…」


遅かった。私以外、とうもろこしの芯まで丸かじりしてる…


「…だからか。美味しくないと思った…」


と、精霊ズ。


ごめんねぇ、もう少し早く言えばよかったね!私の常識はここでは通用しないことを忘れてました、ハイ。

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