巫女とは

なんか凄い事実を知った気がする。あっちの世界とこっちの世界、いろいろ設定が違うみたい。あっちだとフェンリルって北欧の魔物だったはず。でもこっちはどうやら違うみたい…


「そういえば、フェンリルの巫女、ってなに?」


アレクに聞いてみる。巫女って言うと神様に使える女性の事を指すけど…こっちでは?


「あぁ、巫女ですか。」


フェンリルの番になった女性の事ですよ、と言われた。

そもそもフェンリルの番になった女性は私達と深いところで繋がり同じ刻を過ごすので必然的に長命になり、ある意味人族にとって畏怖の対象になるようで、いつの間にか「フェンリルの巫女」、と呼ばれる様になったんです、私達フェンリルはかなりの長命と言うだけで、神では無いのに、と苦笑している。


…本当にそうだろうか?想像出来ないほど長命らしいのは分かったけど。

番だからといって、その命を延ばす、普通じゃないと思う…


「私達フェンリルにとって番を得ると言う事はとても幸せな事です。悠久の時から解放される事でもあるのですから。」


思わぬ告白に驚いた。


「悠久の時から解放される、とは…?」


恐る恐る聞いてみる。


「そうですね、番と命の刻を分けあう事で確実に永遠の眠りにつける、と言う事でしょうか?」


勘違いしないで欲しいのですが、前置きされて話は続く。

フェンリルと言う種族は驚く程長命です。それこそ「死」と言うモノが存在しないのでは無いかと勘違いされる程に。

決して不死では無いです。ただ長命の代償なのでしょうか、フェンリルは不思議なことにほとんどが雄なのです。


番に幸運にも出会えた者たちは命を分かち合い、そうで無い物たちは命の許す限り最愛を探し、永い刻を過ごし、最後はその身を世界に返し、安息と終焉を迎えます。それが私達フェンリルなのですよ。


と何でも無い事のように話す。


「じゃあ…アレクの終焉はいつになるの…」


私のですか、と少し考え。


「そうですね、500年先か、千年先か。それとももっと早いか、遅いか。正直見当つきませんね。ただ、普通の人族より遥かに永い、とだけは言えますが。


そして、アリヤも私と同じだけ刻を刻み、そして最後は世界に身を返し安息の眠りに着きますよ、私と共に。」


ただ、それはまだまだ先の話で、当面はたくさん愛し合い、仔が産まれ、賑やかに楽しく暮らしたいものです、と締め括られた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る