回想

転生前の私は『古宮 茜』という名前でした。


田舎から上京して十数年。ブラックじゃないけど、ホワイトとも言えない、グレーな勤め先にて極々平凡(?)なOLとして生活し、ネット小説やネットゲームにのめり込む日々。


リア充では無いけどそれなりに充実した日々を送っていたんですが。


運命のあの日、前世での生涯を閉じ、こちらの世界へと飛ばされてきました。両親は既に他界しているし、兄弟もいないし、親戚ともこれといった付き合いはない。


こんな生活です、当然と言うか彼氏も無く。


執着のなかった私は異世界転移を承諾し、現在に至るわけで。その際、ネット小説の異世界物語での困りごととか思い出せるだけ思い出してそれらを回避できるように要望した、つもりだ。


食に関しては細かくゴネた。日本人の心、味噌、醤油、出汁、お米その他諸々。用意はしてくれると約束してくれたけど、あんまりおおっぴらにしないでね、とは言われた。転移先で自分で作るか、探し出せば問題ないらしいけど。


きっと存在しない物もあるからだろうと推測する。それでも材料さえあれば自分で作れる調味料とかもあるし、見つけられない間はこっそり使えばいい。まぁ、若干の制約はあるけど、専用庫から欲しい食材が取り出せて使える訳で。


住処もお風呂は特にこだわった。手足を伸ばして悠々入れる大きさの湯船、いつでも入れる状態にして欲しい、って。そしたらヒノキの湯船で掛け流しになっていた。泉質を鑑定してみたら美肌の湯と疲労回復が効能に付いていたからある意味温泉と言っていいのかもしれないけど。


で、可能なら前世では縁のなかった事、彼氏も出来たらいいな、って思っている。(これは流石にお願いする事ではない、)肉体年齢は18才(どうせなら長く満喫したいから。)にしてもらったけど、中身は彼氏居ない=年齢だったアラサーOLなワケで。夢、みてもいいよね?


あと魔法なのか判らないけど、鑑定スキルは使用出来た。けど、あっちで想像しているような魔法は使えない、というかどうしたらいいのか判らない。鑑定が使えるから何かしらの魔力っぽいものはあるんだと思うんだけどね、詳しく判らないのだから仕方ない。これも追々調べるしか無いのかも。


ステータスで時々怪しいスキルが増えたりしているけど、まぁ、気にしたら負けの様な気がするから、ね。


これからは『アリヤ・ノワール』としてこの世界で暮らしていくのだから。

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