異世界転生しませんか?(ほぼ強制)
ぐるりと見渡すも只々白い空間が広がるだけ。後は目の前に浮かぶ物言わぬ神様っぽいナニか。
困った。
これから何処に行けばいい?どうすれば?こんな白いだけの空間にずっと居たら狂ってしまう。いや、死んでいるなら大丈夫なのか?
「あのー…」
ん?誰か呼んだ?ってか、目の前の神様(多分)が喋った?
びっくりして神様をよくよく見ると男性とも、女性とも言えない、中性的で綺麗な顔なんだけど眉毛をハの字にして、とても情けない表情をしていた。
「えっ…と…?」
「あ、あの。じ、実はですね…」
声も透き通っていて素晴らしく耳に心地よく響くのに、しどろもどろで俯いてしまっていて残念感満載だ。
そして何となく、何となくだけどいや~な感じというか、なんというか、予感?がするっていうか。
「申し訳ありません!!」
その言葉とともにその場に土下座。え、なにコレ。眩い神様の土下座ってナニ、なんなの?!
「…なぜ土下座など?」
もしかしてアレだろうか。小説とか流行っていたアレが自分の身に?
神様は顔を上げると胸の前で両手をしっかりと組み、瞳をウルウルさせながら案の定、衝撃の告白をされました。
間違えちゃいました、って!
きっと今私はチベットスナギツネの様な表情をしているに違いない。
いま間違えました、って聞こえたよね、マジですか、そうですか。
「えーっと。確認したくはないんですが。何を間違えたのですか。」
土下座をしたかと思ったら今度は瞳をウルウルさせながらこちらを見ている髪様に生温い視線を向けつつ尋ねる。
「あ、ハイ、実は貴女の寿命はまだまだありまして、コチラの手違いで…」
「あ、もういいです、って事は私本当はまだ死なないハズだったんですね?でも順番間違えて迎えに来ちゃった、という?」
そうなんですね、どうしてくれるんだ、という気持ちを込めて視線を向けた。
「も、申し訳ありません!その代わり元の場所は無理ですが別の場所で生き直す事ができます。コチラの手違いが原因なので…」
ふーん、やっぱりそうなるんだ。小説で流行ってた異世界転移?転生?そんな事になるのかな。
「今、生き直すって言ったよね?それって赤ん坊から?それとも現状維持から?」
どっか違う世界で再び生が与えられたとしてもスタートの状況次第ではこのまま死後の国がマシかもしれない、とボヤけば神様は死後の国だなんてとんでもない、と首を横に振った。
「コチラが圧倒的に悪いんです!なるべく貴女の要望のみますので新たな異世界ライフを楽しんで下さい!」
お願いします!とまたまた土下座してしまった。
そんな土下座神様を立ち上がらせて。
「本当に要望のんでくれるんですか?」
と確認すれば、大体の事は問題無いそうで、例えば前世(?)の物を持ち込みたいとか、転生前に誰かに報復したいとか、前世(?)絡みになると出来ない事が多いらしいけど。
これからの異世界ライフに必要な事は概ねOKになるらしい。なのでどこまで出来るか判らないけどそりゃ事細かに、これでもかと要望伝えましたとも。最後の方は天使様がチベットスナギツネの様な表情を浮かべてましたけどね。
人生狂わされたんだからいいよね、そのくらい。
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