今日も元気に生きてます!異世界で。〜愛し仔のスローライフ〜

水無月琉架

プロローグ

事の発端は。

気が付いた時には目前に迫るライト。


あぁ、人生詰んだ。


まだやりたい事沢山あったのに、此処でお終い。


鈍い衝撃、跳ね飛ばされる感覚、視界に広がる赤。動かない身体に遠くから聞こえる「女性が跳ねられた!救急車!」と誰かが叫んでいるのを最後に意識は暗転した。


覚えているのはここまで。






サァサァと雨の様な音が聞こえる。身体を起こしボンヤリと辺りを見渡せば何処までも白い空間だった。


此処は何処なのだろうか。記憶に違いがなければ仕事からの帰宅中に車に跳ねられて身体が宙を舞い、地面に叩きつけられ、意識を失った。


全く痛みを感じていない現状が分からない。恐る恐る身体を確認すれば衣服もそのまま、特に血が出ているとか、外傷がある訳でも無さそうだ。


そろりと立ち上がって周囲を見渡すといつの間にか目の前に白く光っている人がふわふわと浮いている。その人?神様?はゆっくりと床を指さした。


つられて視線を向けると血まみれの私が倒れ周りの人達が騒然としているのが見えた。



あ、やっぱり自分死んだんだ、と唐突に理解する。だから痛くないし、訳の分からない空間や神様?がいるんだ。


悲しくないかと言われればもちろん悲しい。けれどこの状況で今更だ。どう足掻いても戻れないと解ったから。


出来れば畳の上で大往生したかったけど、親は既に鬼籍だし、アラフォーで独り身、特に悲しむものも居ないし。


さて。


此処は死後の世界なだろうか。それにしては何もない白い空間、存在しているは死んだらしい自分と神様っぽい存在。


どうしたものか。

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