第14話 新しい神

 ピラミッドの地下で鍛え、アレフガの井戸でダイマドウ達を撃破し、そしてフルケアの魔法を会得したことで、モンスターとの戦闘に自信を取り戻したのぶおたちは絶望の山脈を再びとしての初めて進み始めた頃、空が明るみ、そして世界は再び太陽の光を取り戻しました。日食が明けたのです。明るく、眩しく世界が戻ってきたことにのぶおは安堵しました。しかし空に目を遣ると、雲は渦を巻いたり、裂け目ができたり、突然消滅したり、集合と離散を繰り返したり、段差ができたり、いびつな形になったりと、不安定で不思議な動きをしていました。この世界の調和が破綻しかけていて、明らかに何か普通ではないことが起こっているのが、のぶおだけでなく、その場にいた三人の目にも明らかでした。

 そんな、世界のバランスが崩れていく非常事態を、この山脈を越え、そして魔王を倒すことで食い止めることができるのか、そもそもこの奇妙な空と魔王が関係しているのか、山脈を越えた先に魔王がいるのか。何ひとつ手がかりも、当然ながら確信もないまま、もはや世界のどこへも行く目的のなくなったのぶおたちは、目の前に立ちふさがる、雲よりも高いこの山脈を越える事だけが自分たちに課せられた唯一の使命であり、歩むべき道であると自己暗示にかかったかのように、岩壁にしがみつき、脆く隘い崖を進んでいきました。

 容赦なく襲い掛かるモンスターとの戦闘は、たった一度で体力も魔力も疲弊しきって再び麓の小屋へと戻るような状態ではありましたが、それでも以前に見た悪夢、つまりのぶおたちが実際に体験したもう一つの事実のようになす術のない瞬殺にはなりませんでした。大ピラミッドの地下に巣くう怪物たちを相手にした経験が実力となって結果に現れてきたのです。とはいえ、絶望の山脈に現れるモンスターは生半可な強さではありません。例え一匹であっても恐ろしく強いのです。全身が金属のうろこで覆われたメタルドラゴンはこの世のものとは思えないほどに硬く、口から吐き出される超高温のガスは人体を気化させました。三つの頭を持つケルベロスは凶暴で、目があえば見境なく噛みついて人間の腕や足を引きちぎって胃に収めました。あらゆるモンスターが何度ものぶおたちの命を危険な領域まで追い詰めました。イルバートやマリのフルケアの魔法がなければきっと一行は死んでいたでしょう。


 大ピラミッドの地下、そしてこの絶望の山脈、のぶおたちの挑戦は数えきれないほどの昼と夜を繰り返しました。その間、世界のどの街もどの城も破壊されず、住民が襲われることもなく、少なくとものぶおたちの耳に入ってくるような大きな事件は起こらず、つまり、魔王がこの世界を破滅に追いやろうとしていたり、人間を殲滅させようとしているような兆しは一切感じられませんでした。のぶおの知らないところで人が人を殺めたり、物を盗んだりという犯罪は起こっていたでしょう。あるいは国と国が争ったこともあったかもしれません。しかしそれは人間が起こした諍いであり、人間同士の努力によって解決できる問題、いわば許容範囲の中での不幸であり、巨視的に、そして大局的に見た時、この世界はきわめて平和でした。

 モンスターによって何も起こされない、平和裏の世界にあって、のぶおたちはただひたすらに山脈を越えようとしているのです。この平和には二つの理由がありました。ひとつは世界が実際には魔王によって征服されそうになっていないからであり、もうひとつは勇者にとっての時間の進み方が他とは異なるからです。

 のぶおが戦闘を繰り返している間、魔王が何もしなかったというのではなく、勇者が主観的に捉える時間の流れ方と、世界のその他の場所での時間の流れ方と、そして、魔王にとっての時間の流れ方がすべて異なるということの証明そのものでした。勇者が中心の世界において、時間は太陽が上り沈むことの繰り返しとともに進むのではなく、勇者が次の場所へと辿り着くことで、あるいは誰かに出会うことでページがめくられ、新しい一日が刻まれていくのです。勇者が信じて疑わないように、もしこの世界に魔王という悪の存在がいるとして、根城で勇者がやってくるのを待ち構えているのだとしたら、勇者が経た何百日何千日という日数は省略されて、魔王が魔王としての威厳を保ち続けられる流れ方をする時間の中で待ち構えているのです。今ここにいるのぶおは先に進むことに気を取られて気付いていませんが、もし、オスティアの街の堤防で釣りに興じて、大物を狙うために冒険の旅を長らく中座していたとしても、あるいは、暗い森でキノコ採りに勤しんでいたとしても、それが勇者以外の世界に流れる時間には影響を与えないのです。

 つまり、のぶおはのぶおが信じる自分の中の世界を生き、自分と仲間たちだけの時間を過ごし続けているのです。のぶおたちは自分たちの世界独自のリズムとともに絶望の山脈を攻略しようと挑戦をし続けました。倒しても倒してもモンスターは出現し続けました。今際に自爆してのぶおたち四人全員を瀕死に追い込むダークボムが現れたら必死で逃げようと試みましたが、いっしょに現れるコカトリスの石化攻撃で逃げることすらままならない事もよくありました。自分たちの体力や攻撃力や打たれ強さや魔力や素早さは戦闘を繰り返す中でさらに成長していくのを体感していましたが、それでも、この山脈に現れるモンスターの特殊な攻撃には対応しきれず、もはや運の問題、つまり、どんなモンスターと出くわして、そのモンスターがどんな攻撃をしてくるのか、それ次第でどこまで行けるかが決まるような状態になっていました。順調に山頂付近まで行けたとしても、シヴァのふぶきで全員が凍結状態になってしまえば、それ以上進むことは諦めて、すぐに小屋へと戻るしかありませんでした。凍結状態になってしまうと、急激に体力が減少し、絶命してしまう恐れがあるからです。凍結状態から回復する手段がないことにのぶおや、のぶおが時折耳にする声の主はストレスを感じました。


 一歩また一歩と進むたびに、どうか穏便に事が進みますようにと祈りつつ、数えきれないほどの失敗と撤退を繰り返しながら、ついにのぶおたちは過酷極まりない絶望の山脈を踏破しました。南側の麓まで辿りついたのぶおたちは、歩きづらいごつごつとした瓦礫の不整地を慎重に進んでいきました。すると、キングゴーレムが出現して、体力の限界を迎えていたのぶおたちを倒してしまいました。

 のぶおたちはせっかく山脈を越えたと思ったのが夢だったことにひどく落胆しました。今、夢の中でやり遂げた、綱渡りのように完璧な行為をこれからまたやらなければならないのかと思うともはやベッドから起き上がることさえ億劫に感じました。無理がある、という声がどこからともなく言われるのをのぶおは聞きました。それから何週間もの間、かつてオスティアの街で、シーサーペントが出現したときに経過したのと同じ、勇者の時間でも世界の人々の時間でも魔王の時間でもない時間が無為に過ごされて、やがて再始動した勇者の時間で行われたのはやはり何ひとつ変わらない絶望の山脈の攻略でした。モンスターの強さはのぶおたちの強さの向上によって、相対的に低下しました。しかし、モンスターの攻撃の理不尽さはのぶおたちの強さとは無関係に存在し続けて、のぶおたちの行く手を阻み続けました。

 もう、何度挑戦したのか、どれだけの日が経過したのか、何匹のモンスターを倒したのか、すべてがぼんやりとした始めていた頃、二度目の、のぶおの生きる世界においてはぬか喜びの夢を経た一度目の、踏破を成し遂げました。麓から南へと瓦礫の不整地を歩いていきます。幸運にも小さな神殿があり、中に入ることができました。のぶおたちは生の実感を味わいました。モンスターが襲ってこないこの安全地帯で、自分たちが生きていることの厚く暖かな幸せを噛みしめました。

 簡素な神殿には神官らしき人が一人で暮らしていました。神官は「ここは最果ての地。これより先にあるのは魔王の城のみ。そなたたち、魔王を倒しに来たのか」と聞いてきました。のぶおは頭の中に「はい」と「いいえ」の選択肢が浮かんだので迷うことなく「はい」と言いました。神官は「神のご加護がありますように」と言いました。ピロピロピンという音が鳴って、のぶおたちは宿屋で一晩眠ったかのように元気になりました。さらに、ワープの魔法で他の街からここへと戻ってくることができるようになったことにも気が付きました。神官の言葉が正しければ、魔王の城の目と鼻の先のこの場所で、あの忌々しい絶望の山脈を経ることなくやってこれるようになったことに、のぶおたちは小躍りするほどの嬉しさを覚えました。


 一旦、踏破してしまえば絶望の山脈やこの最果ての地の神殿周辺は、のぶおたちにとって宝の山へと変化しました。このあたりに出現するモンスターは強いだけでなく、様々なアイテムを隠し持っていたのです。山脈の踏破が目的だった時にはモンスターに勝ち続けることに重きを置く戦法をとっていましたが、一回の戦闘に全力を投入できる今は、イルバートがしつこく何度も盗みを繰り返すことが出来ました。「ぬすむ」ことによって、のぶおたちは多くの貴重なアイテムを手に入れました。ダイヤヘルムは高い防御力を誇るだけでなく、ほとんどの攻撃魔法のダメージを半分にしてくれました。イージスシールドはメタルドラゴンのテールアタックに耐えられるほどの回避性能を持っていました。マスタードボムはモンスターに向かって投げ込むと、モンスター全員にありとあらゆる異常状態をランダムに与えることができました。竜の骨を飲むと、少しの間攻撃力が倍になりました。

 もうすぐ魔王と戦うことになると考えていたのぶおは、このような貴重なアイテムを出来るかぎり多く集めることにしました。魔王の城を眼前にしてなお、勇者は勇者の時間を過ごしていたのです。


 * * *


 あるひとつのロールプレイングゲームの中に発生し、開発が進めども排除されずにずっと残ったままになってしまっていたバグが生み出した、本来ならば存在するはずのないアイテム『かみごろしのつるぎ』によって、RPGにとっての創造主すなわち神である開発者は殺された。バグが開発者を殺したのである。バグは開発者を悩ませるだけにとどまらず、時に命をも奪うのである。

 開発者が生きていた世界においての、開発者の真の死因が何であったか。開発業務の中で、取り除いても次から次へと発生するバグに手こずり、朝から晩まで働き続けた結果の過労死かもしれないし、開発が思うように進まないことを叱責され、やがて心を病んだ結果の自殺であったかもしれない。いずれにせよ、バグによって、神=開発者=ある世界におけるひとりの人間は命を失ったのである。その絶命の過程と事実が、ザラが生きる世界においては、剣で真っ二つに切り裂かれた神の悲劇として描かれた。開発者が死ぬという最も痛ましい事件が起きたからこそ描かれた、神とザラの、最初にして最後の対面であった。


 世界は闇に包まれていた。勇者の過ごした時間と現象として言い表すならば、何百日という長い間、皆既日食が続いた。そして、神なき世界において、魔王であるザラは自らが新しい神を名乗ることを決めた。神を切り殺してすぐのことであった。勇者が、真っ暗な中で、大ピラミッド地下の攻略と、ダイマドウ撃破のために戦い続けていた時間の長さと、ザラが神を殺してから決意するまでの時間の長さは大きく異なるが、それは二つの世界の時間の流れ方が異なるからであり、長さは違えども、いつであったかというタイミングは同じ位置にあった。


 真っ黒な空間は再び王の間に戻り、今しがた神の最後を目の当たりにした臣下たちにザラは告げた。

「神は死んだ」

 急転直下の事態の中、臣下たちは何も発することができなかった。実体が存在することすら想像しなかった神が自分たちの目の前に現れただけでも尋常ならざる状況だというのに、その神が一刀両断、まっぷたつに切り裂かれてしまったのである。しかも、それをやったのが、自分たちが長年にわたって仕えてきた魔王カールを殺した、その魔王の息子ザラであった。信仰よりもさらに、根源的で信じて疑わなかった部分のすべてが揺らいでいた。今の四人にとっては、立っている地面ですら不確かなもののように思われた。ザラは言葉を続けた。

「神なき今、神を殺した私がこの世界の神となる。この世界の秩序は神である私によって築かれることになる」


 神を殺し、自らを神を名乗り、新たな神となったことで、ザラには今まで見えていなかったこの世界の理をすべて理解することができた。それは、半円形だった視界が、無限の半径を持つ正円となったような感覚であった。

 ザラや臣下たちや勇者たちやモンスターが生きているこの世界は、この世界とは異なる宇宙にある、地球という星の、テレビゲームという娯楽のひとつであるロールプレイングゲームという作品のために、開発者という神が創り上げた壮大な虚構の産物であった。テレビゲームという娯楽において、その地球という星の人間という生き物は、この世界における人間を操作し、その人物の人生の一部分を共感し、自分の事として追体験するのである。操作するのが剣と魔法の世界の勇者であればファンタジックな冒険譚にもなり、宇宙船の飛行士であれば、宇宙生命体との大戦争にもなるのである。

 テレビゲームという概念がもたらしたロールプレイングゲームというジャンル、そして、テレビゲームを介して、この世界の勇者を間接的に操作するプレーヤーという存在がいる。プレーヤーという存在は、ザラや勇者が生きるこの世界のもう一つ外側の世界にいて、勇者の冒険を疑似的かつ主観的に経験している。重要なのは、プレーヤーが、ザラや勇者が生きているこの世界と並行して存在する宇宙にいるのではなく、この世界の外側にある宇宙にいるということであった。この世界、つまり勇者や魔王にとっての世界は、プレーヤーが生きている世界のに包まれた世界だということである。決して対等な関係ではないのだ。そして、カールが創造主として信じ続けてきた神とは、そのロールプレイングゲームを創り上げた開発者の事であった。


 神はこの世界のためにこの世界を作り上げたのではない。開発者が考える理想のロールプレイングゲームを実現するために、この世界を創り上げたのである。開発者が生きている世界の中の、あるひとつの虚構として。物語とその舞台装置としての世界を製作していく過程において発生した、開発者にとっての不都合や不整合こそがバグであった。

 バグは、デ・バッグ、すなわちバグを脱する行為を経て、この世界から排除されていく。最終的に全て、文字通り、一切の例外なき全てが矛盾しない世界を作り上げるのがロールプレイングゲームの製作者の使命であり、この世界から全ての不都合が排除された時、舞台としての世界は完成を迎えるのである。

 しかし、不幸なことに、カールが神と崇めたこの開発者は世界を作るのに十分な能力を持っていなかった。頭の中に描いた壮大な物語を成立させ、抱えきれるだけの世界を作ることができなかったのである。子が親を選べないように、RPGの登場人物は開発者を選べないのである。開発者の力不足によって、物語は迷走し続け、解決されないままの謎や意味を与えられない出来事が散乱し、住民の話す内容さえ時に不明瞭であった。そして、世界にはいくつものバグが残され、放置されてしまった。開発者が敷いた物語のレールからほとんど逸脱せずに勇者が進んでくれたから発覚しなかっただけであって、今もなお深刻なバグはいくつも眠ったままであった。

 そんな力不足の開発者が残してしまったバグによってザラは誕生し、望まぬ子として棄てられ、父カールは息子ザラに殺され、最後には開発者も命を奪われてしまったのである。大義名分のない物語を邁進し続けさせられている勇者も含め、この世界の全員が、不完全なRPGの悲しい被害者であった。


 モンスターの子として生まれ、父を殺して魔王となり、遂には神となったザラには、RPGの中のモンスターとしての視点と、ラスボスとしての視点と、開発者としての視点のすべてが併存していた。多面的にこの世界を見渡すことができるようになったことで、ザラはロールプレイングゲームの概念と、開発者としての裁量を知り、大きな危惧を抱いた。自分の死についてである。

 すでに用意されてしまったこの世界で、どれだけ強いモンスターを自分の城の周辺に配置しても、勇者は成長して、いずれ全てのモンスターを倒してしまえるだけの力を手に入れる。この世界は勇者の冒険のために作られたのだから、勇者に倒せないようなモンスターは存在しないのである。逆に言えば、全てのモンスターをどうにかすれば殺せるだけの力を手に入れられるほどには勇者は成長できるようになっているのである。勇者によって物語は紡がれ、全ての物語には必ず始まりと終わりがある。この世界の物語の始まりは、16歳の朝の勇者の旅立ちであり、そして、この物語の終わりとは、魔王の死である。どれだけ波乱を含み、紆余曲折とピンチを経たとしても、最後の最後には魔王は勇者によって倒されて、そして物語は終わりを迎えるのである。


 物語の中に組み込まれてしまった以上、魔王は、遅かれ早かれ、いつかは勇者に殺されてしまう。言い換えれば、いかに勇者に殺されるか。殺され方、死に方を追究することを運命づけられたのが魔王であった。カールは自身に傘られたその運命を、物語を紡ぐという行為の場であると解釈し、神を信仰し続けた。

 そんな父の生き方に反発し、父を殺すことで答えを見出そうとしてしまったザラにとっては、魔王の存在意義を塗り替えることこそが、新たな魔王の使命であった。魔王が最初に定義されたままの魔王でいるということは、死を待つことと同じなのである。このまま、玉座に座り続けているだけでは、運命を受け入れてしまうことになる。物語を自分の手で終わらせなければならない。神を殺し、新しい神となった魔王だからこそできることがあった。それはここにいてはできない事だった。ザラは臣下たちに命令を下した。


「私は神となり、この世界の事も、そしてこの世界の外側にあるもう一つの世界の事もすべて知り、ひとつの結論に達した。真に倒すべきは勇者ではない。その勇者たちを操作する別の意思が存在するのだ。その意思の持ち主をプレーヤーと呼ばれている」

「勇者は自分の意志で行動していないということですか」呆然とし続けていた臣下たちであったが、やっとゼットマが口を開いた。ザラは答える。

「勇者は自分の意志で行動していると思って行動している。これはもはやこの世界に住む者には理解しがたい関係性だ。そして、私はこれからその意思の持ち主であるプレーヤーを殺しに行く」

 ザラの言葉に、臣下の全員が息をのんだ。

「我々がどれほど強くても、物語はいずれ結末を迎えてしまう。物語の結末はいつも我々モンスターの死だ。今、それを変える。プレーヤーの死をもってして、物語を変えるのだ」

 この世界の中だけで生きている臣下たちにとって、もはやザラの言葉の意味は理解しかねたが、それでも、ザラの言葉を神の言葉として、一言たりとも漏らすまじと耳を傾け続けた。神は続けた。


「私がこの世界を離れるにあたり、この城とこの世界の支配はお前たちに任せることにした。創造主たる神なき今、物語の結末がどうなろうともはや構わない。魔王がここにいる必要もない。ジェイマ、ゼットマ、ケイマ、ティーマ、あなたたちは十分に強い。自分たちの内なる悪にのみ従えば、勇者がどれだけ強かろうとも、倒されてしまう事などないはずだ。あなたたちが勇者を蹂躙し続けている間に、私はこの物語を、悪の支配によって終わらせる」


 そう言い残すと、ザラは姿を消した。

 勇者の一行はこの城のすぐそばまでやってきていた。

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