第11話 大火山噴火
のぶおは飛空艇を操縦し、ゴゴの町から南西の方角にあるジャングル島へ向かいました。泳いでいくにはあまりに遠く、岩礁のせいで船で近づくこともできないャングル島も、発明王が作った飛空艇の力を借りればわずかな時間で到着できました。間近に迫ったジャングル島は中心の火山からうっすらと煙が上がっているのが見えました。さっきの地震の影響かもしれないなと、のぶおは感じました。
島の周囲を旋回したのち、唯一見つけられた平らな土地である、島の南側の砂浜に艇を着陸させた一行は、先ほど上空から発見した、火口近くにある古い石積みの祠らしき場所へと向かうことにしました。イルバートとガルーダの姿を見掛けたわけではありませんが、何の手掛かりもない以上、まずは気になった場所へと向かってひとつずつ確かめていくしかなさそうだったからです。冒険を始めた頃はレールの上を進むトロッコのように一本道で進んでいく先には用意されたかのように出来事があり、ヒントを示唆する人がいたのに、段々と粗慢になってきて、どこへ行き何をすればよいのか分からなくなって来ていることにのぶおは不満を感じ始めていました。そもそも冒険というものは自分の力で道を切り開いて進んでいくものであり、明に暗に誰かに指示してもらわないと何もできないなどという、のぶおの不満は見当違いも甚だしいです。
じめじめとした熱帯雨林の中を進むのぶおたちにこの島固有のモンスターが続々と襲い掛かってきました。サーベルタイガーの牙は強力で、鎧を貫通し致命傷に近い傷を負うこともありました。マンドラゴラは仲間を呼び集めて、奇妙なおどりを踊りました。うっかり踊りを見てしまうと眠ってしまうのです。眠っている隙に他のモンスターに襲われることもあり、どのモンスターも手強い者ばかりでした。しかも、林の中は方向感覚を失いやすく、直線距離にすれば大したことのない遺跡までの道のりに長い時間を費やしてしまいました。その間にもモンスターはひっきりなしに襲い掛かってきて一行は魔力もアイテムも使い果たし、全滅してしまいました。
のぶおはゴゴの宿屋のベッドで目を覚ましました。悪夢のせいでシーツは寝汗で湿っていました。これから発明王の家に行き、もし飛空艇が完成していたら向かうことになるであろうジャングル島のような、熱帯雨林の中で歩いても歩いても足がもつれて前に進まず、右も左も分からなくなって、地面からは毒蛇がうようよと這い出してきました。逃げたくてもどこへも逃げられず、踏みつけた毒蛇の不快な感触と、噛みつかれてしまうのではないかという恐怖がじとじとと拭いきれない汗のように体にまとわりつきました。休みたいのに、休む場所さえ見当たらない、座ることもできず、立っていることも、立ち止まることもできないという幾重もの苦しみにもがく夢でした。
発明王の家に向かう前に、のぶおは道具屋に立ち寄りました。さっきみた悪夢がそうさせたのか、のぶおはテントをいくつか購入しました。テントは宿屋ではない場所でも睡眠をとり、体力や魔力を回復させることのできる便利なアイテムです。どういう素材でできているのか、不思議なことに一晩使うとなくなってしまうので、念のためにいくつか買いだめしておくことにしました。回復薬や毒消し草と比べて50倍近い価格でしたが、未開の、人が住んでないであろうジャングル島に向かうのですから、致し方ない出費と割り切りました。
発明家の家に行き、飛空艇を手に入れ、ジャングル島南側の砂浜に着陸し、山腹の遺跡へと出発しました。
マンドラゴラの奇妙な踊りを見てしまうと眠ってしまうような気がして、出現したら真っ先にマリの魔法で焼き尽くしてしまうことで対処しました。次々と襲ってくるモンスターをなんとか倒しながら、時々テントを張って休息を取り、進んでいきました。テントを購入しておいて本当に良かったとのぶおは感じました。ちなみにテントでの睡眠は時間という直線を伴う行為ではなく、ある点として発生して長さを持たない切り替わりなので、眠っている間にモンスターに襲撃されることはありません。
テントの力を借りてもなお、モンスターに苦戦しながら、生い茂る木々の中では方向感覚に頼ることもできずに、進んできた道に戻ったり、同じ岩の周りを何周もしたりと、混乱と不和に陥り、右往左往しつつもなんとか熱帯雨林を抜け出した一行は、大小の火山岩で埋め尽くされた山の斜面を登っていくことにしました。
火山岩は凹凸だらけの黒色の瓦礫で、不用意に手をついてしまうと鋭利に尖った先端にで怪我をしてしまいます。のぶおたちの装備は上から頭部を覆う兜や帽子、上半身を守る鎧やローブ、手に持つ武器と盾、だけしか描かれていませんので、下半身にどのような衣類を身に着けているのかや、どのような靴を履いているのかということは不明です。描かれておらず不明であるということは、身に着けていないのとは異なりますので、何らかを身に着けている可能性があるということです。手で触れるだけで怪我をするような火山岩の瓦礫の上を裸足で歩いているなどという理にかなわない状況は、なにも装備していないと描かれているわけではないという理屈によって、回避されます。何らかの割と丈夫な靴を履いているからこそ、一行は苦戦しつつも斜面を登っていっているのです。
やがて山頂近くの祠にたどり着きました。のぶおが装備していた青銅の盾ですっぽり隠れてしまうほどの小さな祠でした。のぶおたちはこんな小さな祠をどうやって上空から発見したのか、しなかったらここへはやってこれないので、発見したという事実があるという事でそれ以外は省略されています。祠の中を覗き込もうとしたとき、地面に大きな影が現れて、祠とのぶおたちをすっぽりと覆いました。空を見上げてみるとそこにいたのはイルバートを足の鉤爪で捕まえたガルーダでした。
ガルーダは上空からイルバートを離して、地面へと無造作に落としました。うつぶせのまま地面に叩きつけられたイルバートは二度ほど転がって、空を見上げたまま微かに息をするだけで動くことができませんでした。長時間ガルーダの鉤爪の苦痛に耐え抜き、なんとか一命は取り留めたイルバートでしたが、顔色は蒼白でぐったりとした様子で、今すぐ治療が必要な危険な状態でした。回復薬や回復魔法で取り戻せる体力とは異なる、疲弊という状況がきっとあるのです。
その時でした。再び地震が起こったのです。地震の力は火山が内包する大量のマグマを急激に押し上げ、そして火山が噴火しました。マグマは雲の上まで勢いそのままに噴き出し続けました。火口の真上にいたガルーダは全身にマグマを浴び、のぶおはガルーダは死んでしまったに違いないと思いました。しかし、実際はその逆でした。奔出し続けるマグマから姿を表したのは、マグマの圧倒的なエネルギーを体内に吸収し変身した、ボルケーノ・ガルーダに変身した。
襲い掛かってきたボルケーノ・ガルーダとの戦闘に突入しました。火山の勢いは衰えるどころか、ぼうぼうと増しており、このままではこのジャングル島全体が火の海に包まれてしまう恐れが出てきたので、ボルケーノ・ガルーダとの戦闘は、どれだけ余裕を見ても10分以内に決着を付けないと、のぶおたちも火の手に巻き込まれて助からない状況でした。刻一刻とカウントダウンが行われる中、ボルケーノ・ガルーダは口から火を吐いたり、空から岩を降らせたりしました。ヨハンは水神の槍を使ったジャンプ攻撃で効果的にダメージを与えました。のぶおは大ピラミッドの地下2階で手に入れていたドレインソードを使って切りつけました。ドレインソードによって相手にダメージを与えると、その分だけ自分の体力が回復するような気がしました。切れ味が悪く大きなダメージは与えられないので、ジャングルの中のモンスターたちには使えませんでしたが、ボルケーノ・ガルーダのような強い攻撃を連発してくる相手に対して、大きなダメージを与えるよりもなんとか絶命しないように少しずつでも自分の体力を維持することに重きを置く戦法の場合には役に立ちました。
マリのストップの魔法が時々効いたおかげで、ボルケーノ・ガルーダの動きを止めることが出来、徐々に戦況はのぶおたちのほうに傾きつつありました。それでも、ボルケーノ・ガルーダはその翼を大きく羽ばたかせ、竜巻を発生させることで炎の勢いを増幅させたり、噴火の力とガルーダが元から持っている雷の力を組み合わせた火山雷で攻撃してくるなど、その強さは驚異的でした。のぶおたちは善戦しましたが、ボルケーノ・ガルーダは強く、時間は無情にも過ぎて、やがて三人とイルバートはマグマに飲み込まれ、絶命しました。
火口近くに張ったでテントの中でぶおは寝袋の中がびっしょりと濡れてしまうほどの汗をかいて、目が覚めました。夢の中に出てきたのは、大ピラミッドで対峙した時よりも大きなガルーダの姿と、噴煙と落雷でした。雲や煙や炎と一体化したガルーダのシルエットはとても恐ろしく感じられ、この先の火口で起きる出来事を暗示しているようでした。
のぶおは、イルバートのことが心配で、もちろん、イルバートが、というよりもガルーダ自体がこの島のこの先の山頂にいるのかどうか今はまだ何の確証もないのですが、火口へと向かいたいと焦る気持ちをぐっと堪えて、あと2つ残しているテントを使い切るまでは、この付近でモンスター相手に修行をすることにしました。本当はこの先の火口にイルバートとガルーダがいることが分かっていて、さらにガルーダは変身してさらに強くなることをのぶおではない誰かは知っています。だから、この辺りに出現するモンスター程度に苦戦しているようでは、この後襲い掛かってくるであろうガルーダ、正しくは、もしかしたらこの先にいるかもしれない、のぶおにとってはできればいてほしいガルーダには勝てないような気がしたからこそもっと鍛えて強くなろうとしたのです。
あと1分を切ったところで、マリのブリザードによってボルケーノ・ガルーダを倒し、ボルケーノ・ガルーダは火口へと落下していきました。のぶおはイルバートを連れてすぐにでも砂浜に停めた飛空艇のもとへ向かう必要がありましたが、祠がどうしても気になって、再び中を覗いてみました。手のひらほどの大きさの木製の観音扉があり、開けると、そこにはあの勇者の紋章がありました。これまでの3つと同じ大きさの紋章は、表面に桃色で四角の図形が刻まれていました。紋章を手に入れた一行は大急ぎで、山を下り、熱帯雨林を抜けて、飛空艇に乗り込み、島を脱出しました。一行が空へと飛び立って間もなく、マグマは島は全体を覆いつくしました。
湧き出し続けるマグマによって島の周囲の海水は沸騰し、真っ白な蒸気に包まれたジャングル島を下に見ながら、「なんとか間一髪逃げ出せたな」と一同が安心したのも束の間、火口からの大きな噴石が飛空艇の後方に直撃しました。飛空艇は動力源と尾翼を失い、コントロール不能となって、戻るべきゴゴの町とは反対方向のずっと南へと流されていき、ついには山脈の向こう側に不時着してしまいました。
* * *
魔王に届く神託は、往々にして魔王の判断や思考の至らなさを突いてくる。的を射たものもあれば、神は、魔王の想定を越えてより深く大きな物語を紡ぐことを求めてくることもあった。魔王も決して手を抜いてなどいなかったから、創造主様の求められる理想の物語と崇高さに魔王は自分の力の至らなさを感じることもあった。魔王として全てのモンスターの上に立つ地位とは神の求める物語を創り出すための手段であり、地位そのものに価値も名誉もなく、ただひたすらに、勇者のために物語を裏から支え続けなければならないのであり、魔王とは神によって与えられた、神に結果を返すための県毛なのである。そんな神に仕え、壮大なる勇者の冒険物語を紡ぐことを使命と捉えて疑わずここまできた魔王にとっては、叱咤であれ激励であれ自身に届けられる神託のすべては甘んじて受け入れるべきありがたい具象と抽象の連続であった。
勇者が発明王の繰り出したロボットを撃破して間もなく、カールの内奥に神託が届いた。
「勇者にお使いをさせることが勇者の冒険の物語であるのか…」
「モンスターの選定にもっと特色を見せねばならない…」
「機械ではなく、特殊な能力をもった……モンスターをどうして使わないのか…」
「より良い物語を、もっと良い物語を作るために……物語の……」
物語に起伏や波乱がなく、まるでお使いの真似事のような事をさせているだけになってしまっていることに対しては、カールは返す言葉なく受け入れた。しかし、ボスとしてこれまでのようにモンスターではなくロボットを選んだことに対しては、神の欲するところとカール自身が思い描く物語との齟齬を感じていたが、しかし、やはり神に対して反論などできるわけもなく、じっとすべてを拝聴した。より良い物語、とは、一体なのだろう、だれにとっての良さなのだろうか。カールは今後の勇者の冒険をより充実させたものとできるかどうか、不安を感じていた。充実どころか、完結させることができるのかどうか、完結するとしたらどういう最後にすべきなのか。先を見通すことが難しく、これから物語をどうすべきか、神にも臣下にも答えを求めることはできず、孤独に苦悩していた。その苦悩はザラにも臣下にも伝わっていたが、カールは分かつことをしなかった。
王の間で祭殿に向かい、ひとり神託を聞き終えた魔王は背後に気配を感じた。ザラのであることをすぐに。そして心底驚いた。今ここにザラがいるということは、ゴルゴンを倒したというなのか。ゴルゴンに勝つなど、いや、我が息子ならば勝てるかもしれないが、あまりにも速すぎる。カールは困惑した。そしてザラの気配とともに漂う血の匂い。
カールが振り返ると、そこには、汗もかかず、髪の毛一つ乱さず、ゆっくりとした歩調でカールのほうへと近づいてくるザラの姿があった。左手に握りしめているゴルゴンの頭部の切断面からは血がまだ滴り落ちて、ザラの歩みに沿って石の床に点々と線を描いていた。ザラはゴルゴンを撃破したのち、一瞬にしてここへとやってきたのであった。その速度は、現地のジェイマが状況を確認してテレパスを送ってくるよりも早かった。
カールの前までやってきたザラはカールに見せつけるよう、ゴルゴンの首を高く掲げて斜め上に突き出して言った。
「父よ、あなたは神への信仰のためなら、わが息子を二度も殺す。それがあなたの信ずる神の教えであり、私に対する答えですか」
カールは言葉に詰まった。神に仕える立場でありながら、その神との禁忌を破り、モンスターとの間にもうけてしまった息子。その存在をデバッグ山で殺して消してしまえなかった自分の決断の甘さ。そして、今もまた自分の手を汚すことなく、ゴルゴンにその責務を任せてしまったという判断の誤り。しかし、ザラの言うとおりである。私は神の教えに従い、メタモンスターとして成すべきことを優先し、そのために自分の息子を殺そうした。自らの至らなさによって失敗してしまったが、物語を紡ぐために不要なものを排除することは、神に仕えるメタモンスターとして当然の行為なのだ。
「そうだ。我々メタモンスターは創造主様に仕える身。創造主様とともに勇者の物語を紡ぐことこそが我々に与えられた使命なのだ。その教えに背くのであれば、わが息子であっても命を奪うほかないのだ」
ザラの内奥に満ちていた怒りは、カールの言葉によってさらに密度を高めた。その怒りは、父が創造主と呼び信仰する神に対してであり、そしてその神を信仰する父に対してであり、さらに魔王である父が育てようとしている勇者という人間に対してであった。密度の増した怒りは憎悪へと変貌し、再び地面を揺らした。ゴルゴンを倒した時よりもさらに大きく激しく。そのエネルギーは、この魔王の城から遠く離れたジャングル島にも伝搬し、山体のマグマを刺激した。刺激されたマグマは勢いを増し、そして噴火した。本来ならばマグマに飲み込まれて死んでいたであろう、火口の上空にいたガルーダは、マグマの熱量をザラの憎悪によって身にまとうことで、ボルケーノ・ガルーダに変身したのだった。
父と息子の二度目の対面はあっけない最期だった。
異変に気付いたゼットマとケイマが王の間に駆け付けてみると、そこには息子に剣で刺殺された父と、父を剣で刺殺した息子がいた。父は玉座に掛けたまま、息子の剣で心臓を背もたれまで真っすぐに貫かれていた。突然やってきた魔王の死であった。反攻どころか、反応する間も与えずに、詰め寄り、刃を突き刺してしまった。瞬間は短くとも時間であり、反応を許さないザラの行動は長さを持たぬ時点であり他者の行動を受け入れなかった。まさしく次元の異なる力であった。
ザラが剣を抜き取ると、その勢いでカールは玉座の前に突っ伏した。床に溜まった血が四方へと流れていった。駆け付けたゼットマとケイマに対して背を向けていたザラはゆっくりと振り返り、悲しみと怒りが同居する瞳で、二人を睨みつけた。そして、父の血がまだ残る剣の先を、二人に向けた。済んだ眼差しと強く凶悪なオーラにゼットマとケイマはその場から動くことができなかった。ザラはテレパスを使い、二人と、偵察に出ていた残りの二人にもこう断言した。
「この世に一人しかいない、わが父であり、全てのモンスターの頂点に立つ魔王であり、メタモンスターの長であるカールは今死にました。私がこの剣をもって死を与えたのです」
城に戻る途中だったティーマとジェイマはあまりにも突然の事態に飛空をやめ、空中で停止してザラのテレパスを聞いた。
「私が魔王の息子であろうとも、あなた方の主をを殺したことで、あなた方は私に対して復讐を考えているかもしませんが、私はあなた方四人を殺すつもりはありません。時が満ちたというだけのことなのです。あなた方の純粋なる感情と欲望さえ解放すればそれでいいのです。もはや創造主の教えに従う必要などないのです。強大な力を持ちながらもそれを抑えてきた、決して本意ではないこれまでの歴史。それを引き継ぐのか。否。今こそ、モンスターとしての悪の力を解き放つべきなのです。我々はモンスターとして何者よりも強い」ザラは一切の迷いなく、言葉を続けた。
「『悪』は神によって与えられるものではなく、自分自身が生み出したものであるべきなのです」
その最後の一言によって、隙あらばザラに報復の一撃を返そうと思っていた臣下たちも、心のどこかに封印していた自分たちのモンスターとしての悪の意識がついに解放されたような気分になって、構えを緩めた。モンスターにとっては自然と受け入れられる純粋な言葉であった。そうだ、ザラの言うとおりだ。我々はメタモンスターであると同時に、いやそれ以前にモンスターであるのだ。神に従って何になるというのだ、神の教えに何の価値があるというのだ。
ザラの父親殺しが、メタモンスターの周りに張りつめていた薄膜に突き刺さり、破裂し、ジェイマ、ゼットマ、ケイマ、ティーマの四人は悪に目覚めた。もはや創造主の教えに縛られることなどまっぴらごめんだ。神が定めた悪によって自分たちの行動が決まるのではない。悪として、この世界を支配することこそがモンスターの使命だ。この使命は我々が自分たちで追い求めたいと思うから追い求める使命なのだ。その使命のためには、邪魔をする奴は全員殺すぞ。勇者も。
魔王の匙加減などもはや必要ないのだ。自分たちの心が生み出した悪こそが悪なのだ。
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