まわらない寿司

甘井ふたば

まわらない寿司

 お腹が空いた。そう思いながら放課後に寄ったゲームセンターから出る。結局音ゲーのレートはろくに上がらず、9クレもしてしまった。もう時間は19時だ。一緒に来た武志もお腹が空いているだろう。今は月初め。バイトの給料と月毎のお小遣いが入ったばかりで財布の中身も潤っている。まぁ音ゲーで消えた分もあるが、900円くらいならば問題ない。折角だから普段とは違い、ラーメン以外食べに行きたいな。

 そうだ、寿司が食べたい。


「なぁ武志、寿司食べに行かないか?」

「おっ?いいな。丁度俺も寿司が食べたいと思っていたんだよ」

「じゃあ行くか?」

「俺はいま気分がいい。なんでか分かるか?」


 なんでだろう。さっきの音ゲーの事だろうか。そういえばマッチングした時に理論値出たとか、フルコンしたとかなんか喜んでたな。


「さっき理論値出た事か?」

「Yes、めっちゃ気分いいからたまには奢ってやるよ」

「マジで!?」

「しかも、回らない寿司をな」

「先月みたいに月末に音ゲーするお金ないから貸してって言うなよ?」

「言わないよ。先月はかなりバイト頑張ったから財布がかなり潤ってるんだ」

「ならお言葉に甘えて奢ってもらいますかねぇ。」

「じゃあ行くか」










 寿司屋に着いた。だがここは回転寿司のチェーン店じゃないか。回らない寿司とは何だったのだろうか。そう思っていると武志は向かってる途中にホームセンターで買った日曜大工セットを取り出しこちらを見る。



「回転レーンをぶっ壊してしまえば回らない寿司だろ?」

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まわらない寿司 甘井ふたば @Amai_28ftb

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