第5話 再会
数日後 現実世界のヒロシの家の近くの公園
「ほう、ここがコタロウの住む世界か」
「そうです…ああー久しぶりだな、ヒロシどうしてるかな?」
俺は懐かしさを感じ、嬉しくて公園周辺を走り回る。
そう、なんと俺達は一時的に、現実世界に帰還することができたのである。
魔王の額の宝石『真理の瞳』を使って。
このマジックアイテムは対象の心を見透かすチート能力のほかに、対象のいた異世界の扉を開くことが出来ると言う。前女神が話していた異世界ゲートとはこれを指していたのだ。
ただしこれ一個では扉として不完全であり、条件付きの一方通行の能力になっている。
要するに『真理の瞳』を使って、元の世界には帰ることができない代償があるという。更に代償交換という条件があるわけで、とこれは後から説明した方がいいだろう。
とりあえず、ヒロシを探そう。
っといた!
公園の滑り台の下で体育座りをして、膝を抱えうずくまっている。なんだか落ち込んでいる感じだ。
俺は迷うことなく、ヒロシの元にダッシュした。
「ワンっ!」
俺はヒロシの顔目掛けてジャンプした。
「わっ、なんだこの犬…?」
ヒロシは俺をよく見る。
俺はヒロシの顔をなめまくると表情が笑顔に変わる!
「お前っコタロウ? コタロウだよな?」
俺はそうだと言わんばかりに、地面を激しく転がりまくる。
「ああっ! このわけのわからない動きコタロウだ。お前がいなくて寂しかったんだぞ…」
ヒロシは俺をぎゅっと抱きしめてボロボロと泣き出した。
ヒロシの俺に対する愛情が伝わってくる。
クーン…
俺も嬉しくてつられて泣いてしまった…。
…と、いけない時間は限られているんだっけ。
「ごめんよ、ヒロシ」
「えっお前喋って?」
目を丸くして驚くヒロシ。
「ごめん、時間がないんだ。合わせたい人がいるから俺について来てくれるか?」
「あっうん」
俺はヒロシと共に近くで待機していた人間に変身した魔王とコンヤニの元に合流した。
「えっと誰? この兄ちゃん達?」
「信じられないだろうけど異世界の魔王達」
「魔王ルベードだ」
「配下のコンヤニだ」
それを聞いて目をパチパチするヒロシ。
まあ、そりゃ当然の反応。
「うーん、コタロウが生きていて喋ってるからそうなのかなーとは思うけど、なんか現実味がないんだよね…」
「まあ、無理はないな。じゃこいつでどうだ?」
魔王は指先パチンと鳴らす。
「えっ?」
驚くヒロシ。
そう、俺達四人は一瞬で公園の遥か彼方の上空に浮遊していたのだ。
「ヒロシお前、空飛んでみたいっていってただろ?」
「あ、ああ。しかしいきなりだと心臓に悪いな…」
「これは『飛空魔法トベルーン』だ。じゃ少し速度を上げながら話すか…怖かったら調整するから言えよ?」
魔王は意外と紳士だった。
加速していく背景と空の世界…風が気持ちいい…。
「うおおーすっすげー」
喜ぶヒロシと俺。
それから数時間後上空にて
「あ、じゃルベードは魔王を辞めてここに来てみたかったんだ?」
「そうだな…ヒロシは俺らの世界ルマニアには興味はあるか?」
「うん勇者になってコタロウと冒険してみたいなあ…でも…」
「親と友達が心配か?」
「うん、いなくなったら悲しむと思って…」
「そうか、じゃこんな話だが…どうだ?」
魔王はニヤリと笑った。
「! 何それ面白そう」
驚いたことに魔王は魔王らしく、とんでもない悪魔的な計画を立てたのだ。
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