第3話 サレ彼氏とサレ彼女の会話（前編）
翌日の午後三時。
俺は大学からは離れた駅にあるコーヒーショップに居た。
もちろん
俺は約束の時間の１５分前に到着して、席を取って待っていた。
燈子先輩にどう話すべきか、考えていたのだ。
だが一向に考えはまとまらなかった。
それに……燈子先輩に話すための『カレンと鴨倉の浮気』について考えていると、どうしても二人の密会に想像が行ってしまうのだ。
……二人はどうやって浮気するに至ったか。
……カレンと鴨倉は、アノ時はどういう事をやっているのか？
……カレンはどんな反応を？
……行為の後は、二人はどんな会話をしているのか？
考えると悔しさと
いっそカレンに関する記憶の部分を、脳みそからエグリ出したいくらいだ。
そんな状態で悶々としていた俺に、燈子先輩に話す内容など、まとまるはずがないのだ。
ただ時間だけが過ぎていく。
燈子先輩は５分前にやって来た。
時間や待ち合わせに几帳面な人なのだ。
ベージューの薄手のジャケットに、Ｖネックの薄いホワイト・セーター、そして膝が出る丈の黒のプリーツスカート。
１０月としては標準的な服装だが、店内にいた男性の多くの視線が燈子先輩に集まる。
彼女はかなりの美人だ。
そして背も高く、スタイルもいい。
モデル、いやグラビアアイドル並のスタイルだ。
黒髪ロングが似合う知的で清楚な美人。
そして身体全体はスレンダーな細身にも関わらず、胸は理想的な形の巨乳だ。
「コーヒーを頼んでくるから、ちょっと待ってて」
彼女はバッグとジャケットをイスに置くと、カウンターの方へ向かった。
やがてラージサイズのコーヒーカップを持って戻ってくる。
俺の前に座ると、彼女はそのままの姿勢で俺に言った。
「まずは順を追って話して。君はどうして、カレンさんの浮気を知ったのか？そしてその相手が哲也だって思ったのはなぜか」
「俺がたまたまカレンのスマホを見たんです。そしたら、鴨倉先輩とのＳＮＳのやり取りがあって……」
俺は昨夜の事を話し始めた。
思い出すのもつらいが、もう泣いてはいない。
心の苦しさは変わらないが、同時に感情が乾いたような気がした。
話を聞いていく内に、燈子先輩の表情も堅くなっていく。
「それで、その証拠の写真はあるの？あるなら見せて頂戴」
俺はスマホのカメラ機能で、カレンと鴨倉先輩のメッセージ画像を表示し、燈子先輩に手渡した。
燈子先輩はその写真を一つずつ見ていく。
彼女の顔色が青ざめていくのか解る。
五分ほど彼女は、そのままの姿勢だったろうか。
「どうやらウソを付いているのではないようね」
燈子先輩は青白い顔をしたまま、そう言った。
俺にスマホを返す時の手も、若干震えている。
「これ見て『浮気してない』なんて、言えないですよ！」
俺はスマホを受け取りながら、吐き出すようにそう答えた。
燈子先輩は自分を落ち着かせようとしているのか、ゆっくりとコーヒーカップを口に近づけた。
しかしそのままの姿勢で、コーヒーを飲もうとはしていない。
俺もただ黙ってテーブルを見つめていた。
二人して俯いたまま、時間が過ぎて行く。
「それで、君は私にどうしろって言うの？」
五分ほど時間が経った頃、燈子先輩が無理やりのように言葉を押し出した。
いつの間にか、コーヒーカップはテーブルの上に戻してある。
俺は即答できなかった。
……鴨倉のヤツに仕返しするため、アンタをメチャクチャにしてやりたい……
本音はそんな所だが、それは燈子先輩に対して失礼な事なのだ。
そして彼女自身も被害者なのだから。
「俺は、二人をこのまま許しては置けないんです。だから……」
「だから仕返しとして私と浮気したい、そういう事なの？」
俺は上目遣いに燈子先輩を見た。
目に入って来たのは、彼女の見事に盛り上がったバスト・ラインだ。
セータの開いたＶネック部分から、彼女の白い胸の谷間が見える。
……鴨倉の野郎、あの完璧な巨乳を揉みしだいてるクセに、俺の彼女の胸まで触りまくってやがるのか！……
俺の中に、再び暗い怒りの炎が燃え上がるのを感じた。
「そうです」
その熱が口から言葉として突いて出る。
＞この続きは、本日夜８時過ぎに投稿予定です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます