第46話
「あ、ああああ、ああ、野菜を切るなら、僕がやりますよ。こう見えても、ナイフさばきは得意なので……!」
と、手元からバーヌにナイフを取り上げられてしまう。
わ、私だって、料理はそこそこしてたんだからね!ただ、包丁じゃなくてナイフだから、ちょっと、使いにくかったから、その、危なっかしいように見えたかもしれないけど……。
うううう。
得意と言うだけあって、バーヌは手際よく皮をむいていく。
ああ、そういえば、皮むきは日本じゃほぼピーラーだから、仕方がない。切るのなら得意って、邪魔ですよね。まな板他にありませんもんね。
ナイフはもう一つ見つけたので、肉でも……あ!
油、揚げ物もフライパンでひたひた程度の油で揚げ焼きにするくらいはある。小麦粉ある。パンがあるからパン粉もできる。ニンニクがあるし塩もある。作りますか!
捨てるなんてもったいない。
ホルモンは、臭みを取るために大量の水で丁寧に洗って下茹でしてと結構手間がかかるので、今回はあきらめよう。ホルモンの焼肉もおいしいのになあ……。
そういえば、食べ方が確立されたのって戦後だって話だっけ?それまでは日本でも捨ててたんだよね。
というわけで、レバーを使って簡単に1品作ります。
レバーのフライですよ。薄く切って、塩振ってニンニク細かく刻んだのちょいと乗せて、水で溶いた小麦粉塗ってパンでつくったパン粉つけて、フライパンで揚げ焼き。じゅわわー。
できた。いただきます。
うんまっ。牛レバーよりさらに食べやすい。臭みが少ない。口の中のバサバサ感も若干少なめ。薄くしたので衣のサクサク感のが勝ってますよ。
「バーヌ、試食お願いしてもいい?」
「これは、変わった食べ物ですね?パン?」
パン粉でフライって文化はないのかな?
「毒見なら僕の仕事ですから、お願いなんてしゃぢゃdd」
「試食。毒見じゃないです。すでに私が食べました」
もちろんほっぺたびろーんの刑!をしたいのですが、片手はお皿を持っているので、片側だけびろーん。って、また嬉しそうな顔を。マゾですか?大丈夫か、バーヌっ!
「では、いただきます」
バーヌが手を伸ばしてレバーのフライをつかもうとしました。
「うわ、待ってバーヌ!その手で触らないでっ!」
バーヌは肉をさばいてる途中で血まみれの手をしています。
「はい、口開けて、あーんして」
バーヌがちょっとびっくりした顔をして、遠慮気味に顔をこちらに向けて口を開けました。
う、うぐぐ。可愛い。バーヌかわいいっ!
バーヌ(飼い犬)もこうして口をあーんとしてたなぁ。
バーヌの口にレバーのフライを半分に切って入れる。
半分にしたけれど、まだちょっと大きかったかな?レバーフライの見た目はちょうど尻尾のないキスのフライみたいな感じになってます。ひらぺったくてちょっと大きい。パンにはさみやすいかなと思ったので大きめにしてみんです。
半分でもバーヌの口には収まりきらなくて、ぱくりと口で加えた状態でもぐもぐと食べ進めます。
う、可愛い。
なんだろう、すんごいイケメンなのに、お口だけでフライを一生懸命食べてる姿が、可愛すぎる。耳がちょこちょこ動いてるからかわいく見えるのかな。
「ユーキ、これ、美味しいです」
ごくんと飲み込んだバーヌのキラキラっと目が輝いている。
ああ、知ってる、このキラキラは、おいしかったの、もっと食べたいのっていうバーヌ(犬)の目と一緒だ
ということは、お世辞じゃないよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます