第12話
この世界の街は、京都のようです。
マス目のように街が整備されています。通りには順番に番号が振られていて、そこに並んでいる店にも順番に番号が割り当てられています。もちろん、店には店の名前もあるんですが、場所が分かりやすいので店の名前を番号で言うことが多いようです。
孤児院は街の真ん中の広場の近くにありました。広場の西側の通りが12番になっていますから、ジョーンさんの宿は東に8つ移動した通りですね。
移動しながら、目についた人を鑑定して歩きます。
お金も稼がないといけません。悩みがある人、困っている人を検索した情報で助けて依頼料をいただくようにしています。
人助けにもなりますし、ウインウインのお仕事です。
一番簡単な悩みごと解決と言えば、恋のキューピッドです。好きな人にどうアタックしていいか分からない人に恋の橋渡しをする。
さすがに銀貨はもらえませんが、小銀貨1枚なら依頼してくれる人は結構います。
きょろきょろと恋してそうな人を鑑定しながら歩いていると、何かにつまづきました。
「うわぁっ」
結構大きなもの。小石とかそんなんじゃない塊。
普通の人なら避けて通るでしょうけど、前を見て歩いていなかった私は見事に躓いてしまいました。
どしゃっ。
と、バランスが保てず、その塊の上に乗っかるようにして倒れます。
「ご、ごめんなさいっ」
倒れた瞬間、温度のあるそれがにゅっと少しだけ動いきました。
人だ、と思って慌てて立ち上がります。
見ると、思った通り人でした。人には違いないのですが……。
「あの、大丈夫ですか?」
道の真ん中で体を丸めてうずくまっている人。
まるで、ぼろ雑巾のように見えます。
服装も孤児院の子供よりもボロボロですが、体のあちこち骨がおかしな方向に曲がっているように見えます。病気か怪我か、とにかく健康そうには見えません。
他の人達は遠巻きに避けて通っています。
私がどさっと思い切り上に乗っかったせいで、さらにどこか痛めてしまったのでは……?
「すいません、その、前をよく見ていなかったので……」
声をかけながら鑑定をかけます。
当たり屋のような、ぶつかっって骨が折れただろう、どうしてくれるんだ!みたいな怖い人でしたら、一目散に逃げなくちゃいけません。どこかの国では、同情詐欺のようなものもあると聞いたことがあります。
だけど、いい人ならば、私が完全に悪かったのです。無視して逃げるわけにはいきません。
【鑑定結果
ファルベル
続きはWEBで】
検索窓に、ファルベル、キバノで検索。
目に飛び込んできた単語に、心臓がドクンと大きく鳴りました。
奴隷――と、あります。
ど、奴隷?
この世界には奴隷制度があるんですか?
誰かの日記っぽいサイトにつながりました。
「失敗した。背中が曲がって、顔色も悪かったが安かったから奴隷として買い入れたのに。荷物持ちくらいにはなるだろうと。それなのに、まさか3日でふらふらになって歩くこともできなくなるなんて。安かったのは、病気だったからなんだろう。畜生、まんまといっぱい食わされた。どうせ効果の小さなポーションじゃぁどうにもならなかったから俺に押し付けたんだろうな。餌を食わせるだけでも維持費がかかるからな。俺もさっさとキバノの街に捨てて来て正解だぜ」
うずくまっているファルベルを見る。
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