第10話

「【鑑定】」

 とはいえ、雑草なのか作物なのかよくわからないものも多いため、こっそり鑑定魔法を使いながらの草むしりです。

【鑑定結果

 スージマ草

 続きはWEBで】

 ん?スージマ草?

 たしか誰かのポーションのレシピで見たことがあったような?

 検索窓に、スージマ草、ポーション、レシピで検索。

 紙とペンを取り出しメモします。

 それから、3つほどポーションの材料として誰かが使っている植物を見つけました。

 どれも、わんさと元気に茂っています。この環境で育てることができるってことですね。

「シスター、ちょっといいですか?」

「はい、どうしましたか?」

「これは、スージマ草といいます」

「はぁ」

 突然雑草の名前を教えられたシスターは唖然としています。そりゃそうでしょう。

「ポーションを作るときに使っている人もいます。ですから、材料として売れるかもしれません」

「え?」

 そこまで説明してやっと、名前を教えられた意味が分かったようです。

「みんなも来て覚えてください。これは草ではなくて、ポーションの材料になりますから。抜かずに育てて。スージマ草、こっちのギザギザしたものがニリリ草。それから、このつるりと光沢のある葉っぱのこれがコールアで、材料となるのはこの小さな実の方です」

「ポーションの材料って、薬草だろ?薬草って、森に行かないとないんじゃないのか?」

 話を聞いていた男の子の質問に、首を横に振ります。

「もちろん、薬草がないとポーションはできないんですが、薬草だけでも効果の高いポーションはできなくて、いろいろな作り方があるのです。えっと、この町にこれらを材料として使っている人がいるか分かりませんので、一度ギルドで採取依頼がないか見てきます」

「ぼくも一緒に行く!」

 と、手を挙げた男の子と女の子と3人でギルドへと足を運びます。

 スージマ草、ニリリ草、コールアの実、どれか一つでも採取依頼がないでしょうか……。

 残念ながら依頼書にはありませんでした。

「すいません、スージマ草、ニリリ草、コールアの実の採取依頼が入ることはないですか?」

 受付のお姉さんに声をかけます。

「スージマ草、ちょうどいま依頼をしようかと思ったところだ」

 やせ細った人が後ろに立っていました。

「葉っぱを10枚で小銀貨3枚」

 受付のお姉さんが顔をしかめます。

「えーっと、残念ですが依頼は銀貨1枚以上のものしか受け付けられません」

「あー、じゃぁ、葉っぱを30枚で銀貨1枚に……でも、一度にそれだけの葉っぱを加工するのは……鮮度が……」

 うーんと、悩みだしたおじさん。

 なんてラッキーなんでしょう!

「あの、お姉さん、ギルドが依頼を受けられなかった案件を、個人的に取引するのは大丈夫ですか?」

「ええ、それはもちろん大丈夫だけれど……。その代わり、トラブルが発生してもギルドは何も助けられないわよ?」

 こくんと頷き、おじさんを鑑定。

 大丈夫、いい人です。

「おじさん、スージマ草の葉っぱ10枚、小銀貨3枚ですね。任せてください。で、それはどれくらいの頻度で必要ですか?週に1回くらい?」

「あ?」

 ギルドの外に出て、おじさんと交渉を始めます。

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