第3話
「じゃ、ついてきてください」
情報はお金になります。ですからいろいろ【鑑定】してメモして情報を収集してあります。
第三通りの7番雑貨店。メモで覚えた店まで、ルクマールさんを連れて行きます。
「なんだ?雑貨屋?母ちゃんのご機嫌を取るプレゼントでも買えって言うのか?」
店の奥にずかずかと入っていき、店主に声をかけます。
雑貨店というだけあって、雑多なものが置いてあります。
日用品に、冒険者が使う道具、女性がオシャレに使うものから、ちょっとしたプレゼントに使えそうな小物まで。
「おじさん、ポーションありますよね?、見せてください」
「いらっしゃい。ポーションかい?」
おじさんがちょっと驚いた顔を見せる。
「おい、ポーションなら、ポーション屋で買うもんだろう、雑貨屋に置いてあるわけないだろう」
そこまで言って、ルクマールさんは私の耳元で声を潜めて言葉を続ける。
「悪いが、ポーションじゃ水虫なおらねーぞ?いろんなポーション試したけどな」
いろんなポーションを試したけど治らないと言い切るなんて、もしかして効果大の高いものも試したのかもしれませんね。
いろいろ検索……じゃない、鑑定して分かったのですが、この世界のポーションには、ダンジョン産と、薬草などを原料に作る人工物があります。
人工物は、製作者によってさまざまな違いがあるのです。
一応レシピらしきものもあるけれど、それぞれが秘伝の何かとかアレンジを加えて効果に差が出るようなのです。
それどころか、同じレシピを使っても、同じものにならないこともあるようです。薬草の鮮度や、ちょっとした分量の違いが関係するのでしょうか。もしかして作った日の天気まで関係するのかもしれませんね。
そう考えると、なんだか、料理みたいですよね。
それとも、ラーメン?
「ラーメン」ってくくりはありますが、汁なんて千差万別ですし、冷たいものもあったかいのも、麺の太さも、とにかくいろいろあるのがラーメンです。湿度や気温で麺を作るときの水の量を変えたりと、その人でないと調整できないこともあると聞いたことがあります。
ポーションもそんな感じなのでしょうか。
こだわりの秘伝の何かを使ったポーション製作者がたくさんいることとか、レシピ通りに作っても効果に差がでることとかとか。あと、素人でも作ることができることとか、異世界のラーメンですね。
素人でも作れるとはいっても、ラーメンと一緒で、、ゼロから作ろうと思うとそれなりに知識と経験が必要だそうです。
「ほれ、ポーション」
店主が棚の扉を開けてポーションを数本出してきました。
「え?なんでポーションがあるんだ?」
ルクマールさんがびっくりした声を出す。
「これはポーションとしてほとんど効果がないよ?二日酔いくらいにしか効かない。嫁が酒飲みの俺に作ってくれたものだよ」
嫁が作ってくれたと、嬉しそうな顔をした後、おじさんは少しだけ悲しそうな色を瞳に浮かべています。
「時々二日酔いの客に分けてやることはあるがな、ポーションとして商品として売っているわけじゃない」
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ルクマールさんの名前には実は秘密が!
秘密が!
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