真実なんてどうでもよくね?
思考実験って誰得なんです?2
真実はいつもひとつ! って誰か言ってた気がしたのだけれど
カクヨム3周年企画に便乗中。
お題「2番目」
このお話自体もシリーズ2番目なんで、お許しいただき。
*
真実はいつもひとつ! って誰か言ってた気がしたのだけれど、わたしの真実とあなたの真実は、まったくちがうものなのかもしれない。たしかに事実はひとつだけなのだが、それに対する視点によってその人にとっての真実がそれぞれあるように思う。事実が客観的であるのに対して、真実は主観的になりうるのである。
たとえば、夫婦。夫は妻を顔で選び、妻は夫を経済的な面で選んだとしたら。結婚したという事実はあるものの、互いの利害の一致からそれに至ったのだと思う。僭越ながらかなり極端な言い方で申し上げますと、お互いが好きだったから結婚したとはいうものの、夫はメンクイ、妻は銭ゲバだったという真実、もとい本音が隠れていたのだ! ということになります。
こういうような真実のズレこそが、ベイカ町やフドー高校で普段から起きている事件の引き金になっているのだとおもう。男女のもつれとか意見のすれ違いからくる殺人傷害事件って、けっこうあるあるじゃないですか、あちらの世界では。
ついでにいうと、大抵殺人犯って、自分に起こってきた不幸話を絡めて殺害告白したりしていますが、生き残ったやつらにそれは違うよ!的なこと言われちゃって裏の真実告白されて泣き崩れたりしていませんか? 犯人の視点と被害者の視点。どっちも嘘じゃないし、その時受けた互いの感情を否定することはできない。悲劇でしかない。
そういうすれ違いが発生した時は、相手の勘違いを一方的に指摘するのはあまりよろしくないとおもう。「それはあなたの誤解で、あなたの感じ方が間違っている」。どうです? 嫌な気分になりませんか。こういう奴って、絶対謝らないんですよね。「あなたを不快にさせてすみませんでした」。そのたったひとことがどうしてもいえないんです。なぜか。自分の絶対的な真実があるから。
たとえば、「浮気なんてしていないよ、僕は君だけを愛している」という男。
うーわ、うっぜうっぜ。むりむりむりむり。今のはぜーったい、うそだろ。どうせわたしは2番目の女だったんだろ。そういって、いろんな女を侍らせてるんだろうが。真実なんてどうでもいいから、私の前から消えてくれ、永遠にだ。
と、女はおもうかもしれない。この感情はうそではないし、女の境遇に共感する人さえあらわれるかもしれない。
でも、いっぽうで男はただの八方美人なだけであって、彼女以外は恋愛感情はさらさらない、ということもあるだろう。彼のことばもまた真実になりうる。
だれもうそはついていないのに、真実のズレができてしまいました。男女のもつれからくる殺人事件フラグが見事に立ってしまいました。このままいくと、おそらく男は女の真実によって殺されてしまいます。
それを回避するためには、やはり一方的な指摘ではなく、コミュニケーションが大事なのだと思います。あるいは価値観のすり合わせ。
この場合の男の正解は、「さびしいおもいをさせてごめんな」あたりだとおもいます。男の真実がどうであれ。結局、真実なんてどうでもいいのです。それにしても、男はつらいよ。
*
まあね、こんなことつらつら書いてまいりましたが、真実なんかより、このお話こそ、どうでもよくね? 感は若干あります。
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