β版

なんなら(CERO C くらい)

生殖細胞、なんなら体細胞から、卵子や精子を生成する技術があればすごいとおもう。

性別に囚われることなく、誰の子どもでもつくることができるようになる。

なんなら村田沙耶香「殺人出産」にもあるような人工子宮があれば、生殖は完全に身体性を失うことになる。

そうすれば、女性も少なくとも出産において身体的ハンデを負うこともない。子育てについては保育園や幼稚園の管轄であるが、社会制度の充実により、そのギャップもいずれは埋まるだろう。


結婚制度はすでに崩壊している。

誰かに依存しながら生きていく、という家族制度自体がもう古いのかもしれない。

これからの未来、人は皆、自律して生きていくだろう。

自分が経済的にも精神的にも自立しているならば、子どもの有無も自分の判断のみで決められ、自分ひとりで養うことができる。

なんなら自己愛が強い人ならば、自分の細胞から卵子と精子を両方つくって、クローンみたいな存在をつくってしまうかもしれない。

受精卵を人工子宮で育み、その後も自分の思う自分像を目指して生み育て上げる。

永久にそれを繰り返す。

フラクタル。

まあ、言ってしまうと、劣性遺伝が影響しそうなので、人間の自家受精はたぶんうまくいかないとおもうけれど。

多様性を求めすぎて、結局多様性なんてなくてもいいじゃんっていうオチ。

ディストピア。

今もそっちへ向かっているとおもう。



ところで、愛って、なんだ?

セックスコミュニケーションとか草生えるんですけれど。

性愛の意味もなくなり、自己愛も他者性を帯びるようになった世界で、愛するってどういうことになるのだろうか?


やっぱり、受け入れてもらいたいという承認欲求が先行するのかしら。

お互いが認め合うこと。

そんなの愛と呼べるの?


とりあえず、いまはわたしの細胞を誰にもあげたくないし、誰かからももらいたくもない。

どうやら潔癖よりも雑な方が生きるのが楽らしい。

あーやだやだ。



キモい世界のことを考えているわたしがいちばんキモいのかも。

そんなこと、ないよね?

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