第三話 激進、日本皇国国防軍

イタリ・ローマ王国

北東部・コリーナ

この地域はコリーナ平野によって構成され、国境に最も近い町、『タゴル』の付近になってくると緑豊かな丘陵が増えてくる。

この場所は実質的に防衛側となるイタリ・ローマ王国の方が圧倒的に有利であった。

王国の歴史から見てもこの丘は重要な役割を果たしていた。

強引な言い方ではあるが、ここのおかげで王国が全ての自衛戦争に勝利していた。

その一例として、百年前に北東部から雪崩れ込んできたルシア帝国の騎兵を丘に築いた陣地に布陣させた鉄砲隊や砲兵隊で殲滅し勝利した。

それは、かつて長篠の戦いにおいて織田・徳川連合軍が数や機動力に有利である武田軍に勝利したように丘で防衛し、結果としてこの丘には数万人規模のルシア兵の屍の山が築かれていたのであった。

そして今日、戦史に残る戦いがコリーナ平野周辺で起ころうとしていた。



総兵力約三万のボリシェ・コミン主義連合共和国軍地上軍が歩兵、車輌、火砲と共に国境を越えて進撃していた。

そんな中、国境から五〇〇キロメートル離れた場所に置かれた地上軍の司令部では、ある人物が浮かない表情で椅子に腰掛けていた。


「……クワモスの奴らめ、何を考えているんだ。謎の多いニホンという国のことをまともに調査せずに宣戦布告なんて……もし奴等が我々の世界ではありえないような兵器を持っていて、それを王国軍に供与していたらどうなると思うかね」


「そうですね。政府の判断は軽率すぎるかと私も感じます。私も大佐と同じ考えであります」


共和国地上軍大佐『ウラジーミル・ジュコーフ』は部下の『チェパロア』と共に政府に対する不満をこぼしていた。

こうして、百戦錬磨の大佐の心の中をドス黒い予感が這いずり回っているのであった。

そんな彼の考えを揶揄うかのように、ちょび髭を蓄えた肥満体型の男が声をあげた。

「ジュコーフ君、ちみは疲れているんじゃないか?敵は駆逐艦並み主砲を持つ戦車だとか、発射速度が速い小銃を当たり前のように配備している敵だかなんだか知らんが数や火力そして、精強さに勝る我が軍の敵ではない。所詮敵は、図体がでかいだけで紙のような装甲しかない戦車と小銃ではなく、実は短機関銃だった。というハリボテの銃の可能性だってあるかもしれんのだぞ?共和国軍人がそんなことで臆してはならんぞ」

椅子にどっかりと腰掛け、高圧的な態度で葉巻を吸っているのは、共和国地上軍中将『ボラーゾフ』であった。


「しかし、中将。いくらなんでもニホンという国の調査もまともに行わず、王国や彼の国に宣戦を布告するのはどうかと……それにコリーナ平野を越えて、ナッポリやベネティア、王都ビザン・ティノプルなどの都市を制圧できたとしても、制圧した都市での反乱が懸念されます。

また、もう一つの敵たるニホンの海軍や空軍さえ把握していません。ですので、時期尚早かと」


「はぁ、ちみは慎重すぎるのだよ。我が国が建国して以来、一度たりとも戦争に負けたことがあるというのかね?

前帝政時代の連中を思い出したまえ、慎重すぎたが故に、どこかの島国や今となってはメスガキが治める王国にいとも簡単に敗れ去ったではないか。だからこそ、早いうちに芽を摘み取っておかないといかんのだよ」


だが、彼の豪語も虚しく早速その考えが愚かであるという事実が突きつけられるのであった。

ここで兵卒の伝令一人が、息を切らしながら司令室に駆け込んできた。


「中将っ!!大変です。先鋒の戦車部隊が壊滅しました」

「なん……だとっ?!」


「百二十両編成の戦車部隊が壊滅だとっ?!半日も経たないうちに壊滅などありえん。きっと何かの間違いだっ!!貴様、それは私に対する冷やかしか?」


ボラーゾフが、伝令兵に対して八つ当たりしながら問いただすが、無線室の慌ただしさを見ると紛れも無い事実である。


「………(コイツのように無責任な奴が、上層部にのさばっているおかげで未来のある若者が多く死んでいったのだぞ。ついに、例の計画を実行すべきか?いや、今は混乱を鎮めるのが先決だな)」


ジュコーフは、上司に対して侮蔑の視線を浴びせると同時に、静かな怒りを露わにするのであった。


「君、戦車隊が壊滅したのは今かね?」


「は、はい。急に無線が来たかと思うと、受信機が音割れするほどの悲鳴や爆音が響いた後、各車からの反応がなくなりました」


「通信室、歩兵部隊や砲兵部隊と通信はできるかねっ!!」


「今、通信を行なっているのですが。タゴル峠付近に到着したのを最後に全く繋がりません……」


「そうか……くそっ」


ジュコーフは、あたふたとするボラーゾフの後ろ姿を睨みつけると、他の作戦部隊の指揮官達がいる部屋へと向かっていった。




国境方面から攻勢に出た地上軍部隊の編成は、 歩兵師団が約十三個師団と砲兵師団が十個師団、戦車や装甲車を主とする装甲師団が七個師団であった。

始めの攻勢には、歩兵師団、砲兵師団、戦車師団の計三個師団が偵察がてらに出撃し、順調に進んでいた。

国境に最も近い町『タゴル』の郊外、タゴル峠に差し掛かると、戦車の後ろから続いていた砲兵隊が立ち止まって野砲の照準を町の方に合わせるなどして発射の準備を整える。

「同志諸君、平和ボケをしているイタリ人共に戦争の味を思い出させてやるのだっ!!」

『了解、ジュガーリン総帥閣下の為にっ!!』

砲兵達は、ジュガーリンに対する忠誠の言葉を声にあげると射撃体勢に入るが、目の前のカーブから巨像にも比する迷彩柄が施された乗り物が突然姿を現した。

「無駄な小細工をしやがって。砲兵、あのデカブツを叩きのめせっ!」

砲兵たちが野砲を正体不明の乗り物に向けて発射するものの、砲弾がいともたやすくはじき返されたのであった。

そして、鉄の塊が主砲と思われるものを砲兵の側にいた中戦車に向ける。

そこから『バンッ!』と甲高い音を立てたかと思うと、中戦車の傾斜装甲は原型すら留めておらず。車輌全体が炎に包まれており、周囲には生存者はいなかった。

「こいつはまさか……ニホンという国の戦車か?」

指揮官が動揺する間も無く、同じような乗り物が十台ほど一気に増えた。





「全車、射撃開始っ!ソ連もどきを押し返せっ!」


黒田による指揮の下、国防軍側の90式戦車や10式戦車が敵に向けて一斉射撃を開始した。

敵は見たことがない兵器でもあるのにも関わらず、困惑せず勇猛果敢に反撃をはじめる。

だが、彼らの持つ銃火器や火砲による反撃では無意味であり、いとも容易く弾かれていった。


「伊丹、そのまま敵戦車に向けて射撃を続けろ。富田、邪魔をする奴には容赦するなっ!」


『了解』


黒田の指示を受けた二人は、素早く行動に移した。

伊丹は自身の視界に映る敵の数を精密機械のように数えると、一番大きい中戦車から順番にロックし、照準を合わせて発射トリガーを引く。

一二〇mm滑腔砲から放たれたJM12A1対戦車榴弾が次々と敵戦車に命中していった。

現代兵器から放たれた砲弾は威力が大きいせいか、敵戦車は瞬く間に弾薬庫や燃料タンクに引火し、爆炎をあげて沈黙していった。

富田はアクセルペダルを最大まで踏み込み、ハンドルを敵がいる方向に向けて回した。

黒田が率いる戦車中隊は立ち塞がる敵兵を轢き殺しながら抵抗を続けている戦車や火砲を殲滅してゆく。

ここで初めて、敵が国防軍のことを尋常じゃない存在と認識したのだろう。一部の敵が元来た道に向いて逃げていった。


「全車、撃ち方やめっ。周囲の生存者を探せ」


『了解っ‼︎』


一瞬にして敵部隊が崩壊したためか、まだ敵車輌からは火が上がっている。夥しい数の亡骸もそこら中に転がる結果にもなった。

敵とて一人の人間だ。戦力の差を目の当たりにした敵兵の中には、素直に投降する者も少なくはなかった。

恐慌状態になった者は撃破された火砲の側で膝を抱えて座り込んでいるか、国防軍兵士の呼びかけにも応じず顔を伏せたままの者もいた。

すると、町の方から自動車が近づいてくる音がした。黒田は何かを思い出したかのように叫んだ。


「藤田少将がこられたぞっ!捕虜を集めている者以外は整列っ!!」


黒田は周りの兵士達に呼びかけて、散らばっていた兵士達を集める。

整列する前に一台の53式小型トラックが停車すると同時に、車から降りてくる自身が所属する師団の団長、『藤田 誠也ふじた せいや』少将に黒田達は敬礼した。


「みんなご苦労さん。黒田大尉、敵の捕虜はどれくらいおるんや?」


「はい、今確認が取れているだけでも百人以上は居ます」


「おっ。ばり捕まえてるやん。あとは、退却したんか……深追いはせずにタゴルまで後退や。周辺の地理や国境周辺のインフラ状況を調査し終えるまで町で待機するで。というわけで総員撤収っ!」


藤田が指示を出すと、隊員たちは投降した捕虜を連れてタゴルの町に戻って行った。




最前線にある地上軍司令部では、各部隊の隊長を中心に反乱が起きていた。ジュコーフに率いられた兵士達が司令官たるボラーゾフ中将に対して銃口を向けていた。


「ジュコーフ。貴様、私に対してこんなことをしたらどうなるのか分かっているんだろうな?」


「こんなこととは?こういうことか」


ジュコーフはホルスターから拳銃を抜き取ると、ボラーゾフの右太腿に向けて拳銃を撃った。


「うぎぁっ!」


彼は痛みのあまり叫び声をあげて右太腿を抑え込もうとするが、ジュコーフは容赦なく蹴り倒す。


「私からはこれくらいにしてやろう。チェパロア君、彼を」


ジュコーフが側にいたチェパロアに指示を出すと、彼は一旦部屋を出た。

すぐに戻ってきたかと思うと、チェパロアは車椅子に乗った顔や足に包帯や絆創膏を貼った青年を連れてきた。


「あぁ……あぁっ!」


ボラーゾフはさらに怯え出した。


「この下士官兵は負傷しながらも二人の少年兵を救出し、敵の情報をもたらしてくれたにも関わらず。貴様の理不尽な八つ当たりによって下半身に全治一年の致命傷を負った者だ。そして、私からも言わせてもらうが、貴様のように無能怠惰で私腹を肥やすことしか脳みそにない豚どもをこれ以上野放しにできないのでね」


チェパロアに連れてこられた下士官兵はボラーゾフを親の仇を見るような目で睨みつけていた。


「君、もうこの男は用済みだから君の好きなようにしたまえ」


ジュコーフは右手に持っていた拳銃を青年に手渡した。


「た、た、頼むっ!撃たないでくれぇ。私には一人息子が居るんだぁ!」


この辺りでボラーゾフが泣きじゃくり、命乞いを行うが、車椅子の青年は無表情のまま拳銃を構えると、弾薬が尽きるまでボラーゾフに向けて銃を撃った。

三発目までは呻き声を上げていたが、四発目以降は声を上げることもなく、身体の動きすらなかった。


「死んだか。安心しろ、お前のドラ息子の悪事は間も無く世間に知れ渡ることだ。地獄で楽しみにしていろ」


ジュコーフは、ボラーゾフの屍をゴミを見るような目で見つめるとそう言った。


「ジュコーフ大佐、綿密に計画したクーデターを実行する時がやって来ました。海軍や空軍の同志たちには、今伝えるべきでしょうか?」


共和国海軍の第三艦隊は今、ベネティア攻略に向かっている。しかし、ジュコーフ達反体制派からすれば、好機と言えるだろう。今、ラコ半島の先端にある都市、『ゴルバ・グラード』の軍港で待機している第一艦隊は潜在的反体制派の人間が集まって編成されているとも言える存在だ。

また、他にも同じ港で待機する第六、第七艦隊が反体制派の同志と言えるだろう。空軍に関しては、政府派の人間と半分半分な感じで反体制派がいる感じだ。

幸いにもジュコーフ達王国攻略軍が今いる要塞の近くにある飛行場に駐屯する部隊は反体制派であった。しかし、現実は甘くはなかった。

政府に対して狂信的な連中が集まっているといっても過言ではない軍の部隊が首都のクワモスを囲むようにして駐屯しているのである。

さらに厄介なことにこれらの部隊の装備はすべて最新鋭の兵器が配備されているのであった。


「隣接しているイタリ・ローマ王国かあるいは……ニホンに助けを求めるべきか?」


「大佐、ここは思い切って交戦中の両国に話を持ちかけてみるべきでしょう。交渉中に周辺地域の住民をこちらの味方につけ、現政府の腐敗ぶりを人々に伝えるべきです」


「そうだな。さっきの戦闘であちら側の捕虜になった者も少なくないはずだ。チェパロア中尉、王国軍とニホン軍との交渉に向かってくれないか?私は別部隊への呼びかけと周辺地域住民の保護に赴きたいからな」


「了解」


チェパロアはジュコーフと敬礼を交わすと、護衛の兵士達を連れてタゴルへと向かっていった。




イタリ・ローマ王国とボリシェ・コミン主義連合共和国との間にある公海


タゴル峠で陸軍戦車隊が共和国地上軍を撃破した頃、海でも戦火は絶えなかった。

共和国海軍は戦艦『ボリシェツキー・ソユーズ級』を旗艦とした第三艦隊がベネティアに向けて航行していた。

この艦隊は戦艦二隻、巡洋艦五隻、駆逐艦七隻、水雷艇十隻、掃海艇八隻の計三十二隻の編成である。


「ついに、我らがジュガーリン総帥閣下は怠惰たるイタリ・ローマ王国の攻略を命じられた。各員、敵の怠惰の象徴たるベネティアを火の海に変えるのだっ!!」


共和国海軍第三艦隊の司令官たる『マカロフ』中将は、無線機を通じて各艦船に訓示を言っていた。

この提督が率いる第三艦隊は共和国内の評判とは裏腹に、ジュガーリンの鮫と呼ばれるほど狡猾さを持ち合わせており、残忍さでも地上軍よりタチが悪いほどである。

艦隊の悪行は数え切れないほどであり、この艦隊に狙われた国の都市や島々は容赦なく蹂躙され、非戦闘員たる住民を恐喝し、財産を巻き上げ自分たちの懐に入れ、殺人や強姦などといった重大犯罪も隠し通すほどである。

どうしてそこまで出来るのかというと、副国家総帥のヤーベリの息がかかっているからである。

その見返りとして、艦隊は占領地で美少女を見つけては拉致し、ヤーベリに献上するのである。


「者共よ、作戦成功のあかつきには金銀財宝や娘どもの徴収を許可しよう。ただし、男は皆殺しにしてからだ」


この一言で全艦隊の兵士達は貪欲にまみれた雄叫びをさらにあげる。

狂気に満ちたテンションのまま第三艦隊は共和国と王国の間にある公海を抜けて王国の領海に侵入するのだが、彼らを待ち受けていたのは、想像を絶するものであった。

突如、戦艦の隣を航行していたもう一隻の戦艦と二隻の巡洋艦が耳を引き裂くような爆発音と共に船体が真っ二つにへし折れ、爆炎に包まれたのであった。

恐らく、この戦艦や巡洋艦の乗組員達は己の身に何が起こったのか理解しないまま死んでいっただろう。

辛うじて生き伸びた者達は、重油まみれになり、飛び散る火の粉が身体に燃え移り、火だるまになりながら漆黒の海に沈んでいくのであった。


「な、何が起きたんだ一体。しかも、敵の艦すら見えていないぞっ!!どうやったらそんな距離から撃てるというのだっ!」


「マカロフ中将大変ですっ!爆雷によって撃破された潜水艦が残した最後の電文にこんなものがっ!」


マカロフは伝令兵が持ってきた紙を震える右手で受け取ると、さらに恐怖のどん底に叩き落されるのである。


「よ、四十六センチ以上の三連装主砲を装備する巨大戦艦だとっ?!巨砲という次元では済まされないぞ……そいつは化け物だっ!!直ちに、母港に帰港しろっ」


第三艦隊にさらなる追い討ちが降りかかった。

今度は空から空気を引き裂くような音が聞こえるのであった。

マカロフは何事かと思い、双眼鏡で空を見つめると彼の目を疑う光景が飛び込むのであった。


「プ、プロペラのない国籍不明の飛行機が十四機こっちに来ているぞっ!最大船速にして逃げろっ!」


彼は、無線機に怒鳴りつけながら指示を出す。

国籍不明の戦闘機……国防海軍航空隊所属の73式艦上戦闘機(見た目は史実におけるF-14そのもの)は艦隊に対して空対艦誘導弾を浴びせはじめた。

無論、誘導弾というものに対抗する手段を持ち合わせていない第三艦隊の艦船は撃滅されてゆく。

しばらくして73式艦上戦闘機による対艦攻撃が収まった頃にマカロフは気づいた。

残存している艦が自身が搭乗するボリシェツキー・ソユーズ級戦艦のみであるということに。

彼が周囲を見渡すと、さっきの戦闘機はもう飛んでいなかった。見えるのは、遠くで撃沈された味方の艦船のみである。


『ふぅ。助かった……』


こんな感情がこの艦全体を支配したときが、第三艦隊にとって恐怖のショーのフィナーレの幕開けであった。




イタリ・ローマ王国海軍第十二潜水艦隊司令、『マリオ・テセイ』中佐は潜水艦隊を率いて目の前の獲物に容赦なく魚雷を浴びせていた。


「ようやく獲物が来たと思ったらとんでもねぇデカブツだったな。俺たちの故郷を汚す奴らを生きて帰すなよ」


テセイは指示を出しつつ味方の戦果が書き込まれた報告書を読んでいた。


「ニホンから譲り受けた戦艦ヤマトいや……今はグランデ・ロマーナによる戦果とニホン海軍のクウボとかいう艦から発進した戦闘機による戦果は素晴らしいものだ。これだと味方の死傷者が皆無なのも頷けるな」


彼は戦果に釘付けであった。

同時に、これからの戦いにおいて参考にできるものはないかと考え込むのである。

彼が報告書を読み終える頃には、敵の戦艦が鉄くずと化し、暗い海中へと沈んでいくのであった。その中を潜水艦隊は母港に戻って行く。

総括すると、ボリシェ・コミン主義連合共和国海軍は日本海軍と王国海軍による包囲殲滅に遭い、壊滅した。

戦艦大和こと、戦艦グランデ・ロマーナの四十六センチ砲が放った六発の零式通常弾により共和国でも最新鋭の艦が一撃で轟沈され、退却しようとした。

だが空母武蔵から発艦した約十四機の73式艦上戦闘機による対艦攻撃にさらされる。

かろうじて対艦攻撃から逃れた戦艦ボリシェツキー・ソユーズは、公海に潜伏していたテセイ中佐率いる潜水艦隊により、マカロフ提督と運命を共にしたのであった。

こうして、ベネティア沖海戦は日本海軍とイタリ・ローマ王国海軍の勝利に終わった。

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